中国国家統計局の公表データによれば、中国の失業率は、今年の5月には16~24歳若者の失業率が20.8%と、2018年以降の記録で最も高い水準を2か月連続で更新した。統計学者はこれを中国45年間で最も深刻な失業状況と指摘している。
楽観的な中国の経済学者たちも、この雇用危機の問題が短期間で解消することはなく、バランスが取れるまで少なくとも2〜3年かかると考えている。バランスを取るという意味は、悪化を止めることを意味している。雇用が正常なレベルまで回復するのは非常に遠い将来の事となる。
雇用データが示しているのは、中国共産党(中共)が開示する、あるいは開示しなければならない経済データの一部に過ぎない。周知のように、中国のGDP、インフレ、通貨発行、国民所得、貧富の差などのデータはすべて隠蔽されている。今回発表された若年者の雇用データが本当かどうかは分からないが、公表されている公式のデータを見ても、憂慮すべき状況であることに変わりはない。
もしこの数字が粉飾されたものであるなら、実際のデータはもっと恐ろしいものだろう。中共の常套手段である捏造・隠蔽を考慮すると、筆者の試算によれば、中国では、若者の失業率は30%を超えている可能性が相当高い。
最近開かれた緊急経済会議から見れば、共産中国の経済状況はいかに深刻なのか、中国経済が直面している致命的な状況から抜け出す方法があるのかどうか、かなり厳しい状況だと分かるだろう。中国経済を救うことは非常に困難である。中国は長期的な負債を抱え、経済規模も20年ほど前まで縮小し、後退する可能性がある!
中国経済全体の低迷を受けて、中共幹部らは最近、ビジネスリーダーや経済学者らと少なくとも6回の緊急経済会議を開いた。参加者の口調は「非常に切迫している」という。
アナリストはほとんど、中国経済は行き詰まりに直面しており、中共の体制が多くの問題の解決を不可能にしているという見方をしている。中共は相次いで緊急会議を開き、最後の努力をしても無駄だ。今年下半期の経済回復の勢いもあまり期待できず、専門家は経済崩壊は予想をはるかに上回るだろうと考えている。
官製メディア新華社によると、中国の李強首相は6月に国務院常務会議を主宰し、中国経済を活性化させるためにより強力な措置を講じる必要があることを指摘し、条件の整った政策を「早速打ち出し、迅速に実施しなければならない」と強調している。
中共幹部は、経済を刺激し、民間部門の信頼を回復し、不動産部門を復活させる方法について意見を求めた。 ビジネスリーダーや経済学者たちは政府に対し、早急に政策を見直し、計画主導ではなく、より市場主導的な成長アプローチを採用するよう求めた。また、十数人の参加者は、より多くより協調な貨幣と財政政策が必要であることで一致した。
関係者によると、全ての参加者は刺激策のタイミングと形式に関して「切迫した懸念」を抱いている。
中国経済界や学界の提案は驚くようなものではなく、目新しいものでもないが、中共中央委員会や習近平氏が提唱する計画主導の経済と、中央集権強化の施策とはほとんど正反対のもので、内容的には中共政府にとっては政治的に正しくないものに見える。
現在、習氏は危機感を抱き、集権化を進めており、上層部も不安である。国内政治環境と厳しい国際環境の中、国務院は右傾(政府による経済活動への介入を減らし、市場と企業の活力を発揮させる)を示しているが、中共の経済政策は確実に左傾し続けるに違いない。
中国の輸入と輸出は原動力を失い、20年前、WTOに参加した前の状態に逆もどりするだろう。韓国の中国向けと米国向けの商品輸出の間で相対的な変化が起こっている。2022年には、ほぼ20年ぶりに韓国の対米輸出が対中輸出を上回り、米国が推進しているグローバル・サプライチェーンの再編成の進捗が浮き彫りになった。
韓国の貿易パターンは尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の強力な政策の下で変化しており、中国市場への依存を減らしつつ米国への依存を強めており、 対米輸出は同期間に22%以上増加して1390億米ドル(約1兆9万8770億円)となる。 一方で、米市場では、韓国の重要性が高まり、中国1国の重要性が低下している。
なぜ中国経済が20年前に逆もどりすると言っているのか?
過去 20 年間の中国経済の蓄積は、2001年中国のWTO加盟から始まった。中国のWTO加盟により、アメリカやヨーロッパの豊かな国々の巨大な市場、先進的な技術、管理スキル、大量の注文、国際的な協力、国際的な労働分担、そして外国からの資本流入がもたらされ、これにより輸出主導型の経済発展が実現した。
これは、中国経済の急速な発展を推進した三つの要素の一部となった。1999年から始まった数百万人の法輪功修煉者に対する弾圧や抑圧は国力を大量に消費し、全体の中国人民に対する抑圧や安定化に巨大な資源を消費した。しかし、香港、台湾、西洋からの資本が絶えず流入し、中国共産党政権はこの弾圧の中で経済成長の果実を収穫し続けた。
しかし、2021年から現在に至るまで、国際市場、技術、管理、受注、国際協力、国際分業などがもたらした輸出主導型経済成長の機会はすべてなくなってしまった。中国は、国際市場の縮小、あるいは閉鎖、米国の高い関税障壁、欧米最新技術の導入の中断、高度技術の輸入の終了などの憂き目にあった。また海外からの受注はベトナムやインドなどへシフトされるといった状況に直面している。中国の輸出入の成長は減少し、取引相手は富裕な欧米諸国の巨大市場から、経済的に弱いロシアなどの限られた市場に移行している。このわずか2〜3年で、経済情勢は急激に逆転した。
産業サプライチェーンがすべて中国から移転したわけではないし、東莞市の工場やプラントはまだそこにある、と言う人もいるかもしれない。たしかに設備は残っているかもしれないが、もう大した価値はない。財務や会計の観点から見れば、10、20年経てば、それらの機械や工場、設備や技術はすべて減価償却され、技術は陳腐化し、その価値はゼロになってしまう。 問題の核心は、欧米市場からの注文が徐々になくなっていることだ。注文がなくなれば、労働者は解雇され、工場は閉鎖され、残った機械やプラントは、誰かが買ってくれれば安くても売ることができるが、そうでなければ、鉄くずとなり、中国経済のバブルと一時の繁栄の証拠となるだろう。
中国が欧米の技術、市場、注文を失い、世界の工場としての地位をベトナムやインドに奪われたことは、食い扶持を失うにすぎない。中共が直面している更に大きな問題は、食い扶持と雇用が打撃をうけた以上に莫大な負債を抱えていることだ。これには国内債務と外債、人民元債務とドル債務が含まれている。中共中央政府、国有企業と私企業、各レベルの地方政府、そして国民と消費者全員が多額の債務を抱えている。個人と国家全体が債務に苦しんでいる。
「なぜ誰もが借金をし、債務を抱えているなら、そのお金はどこに行ってしまったのか?」と多くの人が疑問に思っている。答えは非常に簡単だ。そのお金は中共の権力者たち、つまり中共の高級幹部、紅二代、紅三代(中共建国に参加した高官の子や孫)、中国の指導層や特権階級の手に流れていったのだ。また、中国に投資し、貸付を行い、中国の企業債券、中国の企業が海外で発行している株式、中共の国債を購入している外国資本、中国の国有企業や国有金融企業、銀行を支配している最高指導者やその家族の手に流れていったと考えられる。
中国経済が手に負えない状況に陥り、巨額の債務を抱えて、20年前の状態に逆もどりしているのは、コロナが流行した2020年頃から始まったのだろう。そして2022年、ロシア・ウクライナ戦争の時、火に油を注ぐように状況は急速に悪化した。ロシア・ウクライナ戦争は、第三次世界大戦の引き金ではなくても、準世界大戦の発端となる可能性が高い。これにより、米欧経済が大きな打撃を受け、ロシアの国力が大幅に低下するだろう。同時に、中国共産党は国際的な非難を浴び、負債を抱えながら、無理押しをしてくるだろう。
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