中国に亡命した北朝鮮女性が人身販売に 犯罪組織が数億ドルの利益

2023/08/08 更新: 2023/08/08

中国に亡命した北朝鮮女性たちが商品のように売買され、それによって犯罪組織が年間数億ドルを稼ぐ。最近2人の脱北者が米国メディアに、中国で行われた北朝鮮女性の人身売買について語った。

ラジオ・フリー・アジアの情報により、多くの北朝鮮女性が、ブローカーを介して中国へ逃れ、より良い生活ができることを求めている。しかし、これらのブローカーにより恐ろしい現実の運命が待ち受け、彼女たちは中国で売買される商品になっている。
 
オランダにある国際法律事務所(Global Rights Compliance)が3月発表した報告書において、約15万~20万人の北朝鮮住民が中朝国境近くに定住している。そのうちの約70%から80%の人が人権侵害の被害者になる可能性があり、特に人身売買の問題を指摘している。
 
報告書によると、中国で北朝鮮女性は数百ドルの安値で売買されており、関与した複数の犯罪組織はこれによって年間1億ドルを超える莫大な収益を得ている。
 
米国務省の年次人身販売報告書(Trafficking in Persons Report)で、人身売買の被害者になりやすいのは、公式入国資格を持たない脱北者だと指摘した。
 
報告書によると、一部の北朝鮮人女性が中国本土に到着すると、人身売買業者が麻薬で誘い、拘束または拉致し、性行為や結婚を強要していると指摘した。
 
北朝鮮で虐待され、脱出してから今韓国に住んでいるパク・ウンミ(Park Eun-mi)さんとソン・ヘヨンさん(Song Hye-young)2人の女性が、ラジオ・フリー・アジアに自分の身に起こった被害の経緯を語った。

ブローカーを信じて騙される

パク・ウンミさんは中国との国境に近い北朝鮮両江道恵山市で生まれた。2007年、16歳のとき、彼女はブローカーの助けを借り、国境を越えて中国へ逃亡した。
 
パクさんは、家族が経済的に苦しいため、北朝鮮から逃れる方法を探していたと語った。彼女は当時「亡命しても生計を立てるのに何の問題もない」と親しい人々が言っているのを聞いたという。

パクさんは「中国から北朝鮮に送金して家族を助けられる。また、中国に到着すれば子供のいない老夫婦の養女として引き取られ、提供される仕事で収入を得る」ことがブローカーから保証されると聞いたという。
 
「当時は人身売買とは全く知らなかった」と彼女は語った。
 
彼女はブローカーを信頼しており、彼らのことを貧しい北朝鮮の子供たちを助ける善良な人々だと信じていたが、「実際は利益のために人身売買を行っていた犯罪者だった」と述べた。彼女は中国に到着するまで、自分が人身売買の被害者になったことを知らなかった。
 
その後、彼女は田舎で別の仲介人に預けられ、その時からどんどん人が訪れるようになった。ある朝、周りにいた友達が突然連れ去られて売られてしまい、彼女はそんな恐ろしいことが自分にも起こるのではないかと心配になった。
 
最終的に彼女との結婚を希望する男性に売られ、その後6年間、その男性から性的搾取と脅迫を受けたと彼女は述べている。
 
その男性は、もし逃げたら中国の警察に通報すると警告し、彼女には従うしかなかった。
 
その男からは定期的に侮辱を受け、最も屈辱的な言葉は「お前は私の財産の1つに過ぎない。お前が役に立たなくなったら、いつでも捨ててもいい」という言葉だった。彼女はこうした生活を「非常に苦痛だった」と指摘している。

ストリートチルドレンは人身売買業者に売られる 

もう一人の女性、スン・フイインさんは北朝鮮・咸鏡南道・端川市で生まれ、1990年代に飢饉で両親を亡くし、生計を立てるために物乞いをする「コッチェビ」(Kotjebi)、つまりホームレスの子供だった。
 
2007年、スン・フイインさんと数名の子供たちが中国の人身売買業者に、わずか3万6000元 (約71万円) で売られた。
 
その後、スンさんの生活はとても悲惨だったという。彼女は知的障害のある夫とネズミが頻繁に出没する小屋に住んでいたが、夫の文化を理解できず、意思疎通もできなかった。
 
その後、彼女は妊娠して出産したが、粉ミルクを買うお金がなかったため、ヤギを買い、ヤギの乳とミルクを混ぜて子供に育てた。
 
彼女は中国語を勉強すべきだと思って、家に閉じこもって外出せず、テレビばかり見ていたという。
 
2012年、3歳の娘と2歳の息子の面倒を見ながら、普通の生活ができるようになった。しかし、後に中国警察に通報され、北朝鮮に送還され、帰国後、スンさんは投獄され、北朝鮮当局によって殴打され、拷問を受けた。

他の被害者を助ける 

パク・ウンミさんは現在韓国で、自身と同じような人身売買の被害者を支援している。彼女は国際社会における人身売買の問題について議論するために英語を学んだ。
 
パクさんは、国際社会の支援がなければ、中国でさらに多くの脱北者が人身売買の被害者になるだろうと語った。
 
パクさんは中国に逃れてきた脱北者のために声を上げ続けると述べた。「私にできるのは、これらの人々のために声を上げることだけだ。誰かが彼女たちを救えると言うなら、私は絶対に手助ける」
 

陳俊村
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