遺体を長期保存するために防腐や殺菌を施す処置のことを「エンバーミング」と呼ぶ。これを行う「エンバーマー」は、処置の過程で遺体から血液を抜き、化学溶液を流し込む。(エンバーミングは火葬が主流の日本ではなじみが薄いが、欧米では浸透している)
2021年以降、各国のエンバーマーらは遺体の血管内から異常なもの──長くてゴム状の白い塊を発見しているという。
それに対し、以前と変わったところは何もないと主張する者もいる。
なぜこのような意見の相違が浮かび上がっているのか。それを理解するため、エポックタイムズは世界中のエンバーマーや葬儀業者に話を聞いた。
オクラホマ州のある葬儀屋は、「過去2年間、ここの葬儀場のエンバーマーは全員、何度もこの現象に遭遇しています」と答えた。
ペンシルベニア州のある葬儀業者は、「私たちはこのようなものを目にしてきました。社内で議論できるほど確実に見ました」と語った。異常事態だと思ったという。
「何が原因なのか分かりません。これまでそんなものは見たことはありません」
「数字に関しては何とも言えません。2021年に初めてこの現象に気づき始めたときは、『なんとまあ、この方はコレステロール値が基準を超えていたのではないか』という感じでした」
一方で、調査回答者の多くは、エンバーミングを施した遺体のなかに繊維状の塊を見なかっただけでなく、他のエンバーマーや葬儀業者からのそうした報告をナンセンスだと一蹴した。
カナダのあるエンバーマーはエポックタイムズに対し、「すべてナンセンス。新型コロナワクチンに対する陰謀論です」と語った。 「私たちは年間400体以上の遺体に防腐処理を施していますが、見たことがありません」
カナダ、オーストラリア、英国の数名の回答者も、白い繊維状の血栓は見たことがないと述べた。「ばかばかしいたわごと」と呼ぶ回答者もいた。
しかし、2021年以降、米国、カナダ、ニュージーランドの11人のエンバーマーが、新たに死亡した人の循環系に白い繊維状のタンパク質(フィブリン)の塊が詰まっているといった事例を報告している。
この血栓は新型コロナウイルス感染症、または新型コロナワクチンと関係があると推測する人もいるが、そのような関連性を実証する研究は存在しない。
これまで多くの解剖を行った経歴を持つアイダホ州の病理学者ライアン・コール博士は以前、エポックタイムズの番組「米国思想リーダー」のインタビューで、通常の死後凝血によって生じる血栓は白いゴム状のものではないと指摘している。
この問題に関して医学界で公に対話が行われていないのは「制度的に形成された恐れ」のせいだとコール博士は見ている。
草の根調査が暴いた実態
米空軍を退役した元少佐のトーマス・ハビランド氏は、さまざまなメディアでこの奇妙な現象について耳にするようになったことを受け、今年、世界中の葬儀社を対象に独自のメール調査を実施した。
ハビランド氏は、オンラインアンケート作成ツール「サーベイモンキー」を通じて米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国の葬儀場にアンケートを実施した。 その結果、調査に回答した現役のエンバーマー179人のうち、119人が血栓を目撃していた。
できるだけ公平に調査を設計したとハビランド氏は述べた。 説明部分や質問など、どこにも「新型コロナウイルス」や「新型コロナワクチン」といった言葉は出てこない。
ハビランド氏によると、エンバーマーらに対して尋ねたのは、白い繊維状の塊を見たかどうか、いつ見たか、遺体のどこに防腐処理を施したか、遺体の何%に防腐処理をしたかだけだという。
調査の中で新型コロナワクチンについては一切触れていないにもかかわらず、調査の最後に設けられた任意のコメント欄には関連する意見が寄せられた。コメントを残した米国のエンバーマー42人とカナダのエンバーマー12人のうち、ワクチンが白い繊維状の血栓の原因であるとする意見や、それらの異常な血栓の存在を否定しワクチンを擁護する意見が多かった。
「主に、これらの白い繊維状の血栓が2021年に初めて出現し、現在も続いているというのが、エンバーマーらの総意だ。彼らはこれらの血栓を遺体からかなりの割合で、場合によっては半数以上の遺体から見つけている」とハビランド氏は述べた。
この調査結果を裏付けるため、ハビランド氏が調査したエンバーマーと葬儀業者にエポックタイムズが独自に連絡を取ったところ、9人から白い繊維状の塊を見たことがあるとの返答があり、5人から見たことがないと返答があった。
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