中国は12月1日から、EVバッテリーの主要材料である黒鉛の輸出を制限すると宣言した。この宣言に対して中国産黒鉛の輸入に大きく依存している韓国が警戒し、自国で黒鉛の生産を早め、鉱物サプライチェーンの脱中国化を加速させることを決定した。
韓国の学者は、中国共産党(中共)のこの行動は他国に損をさせるが、自身にも不利益をもたらすと指摘した。
今年、ガリウムやゲルマニウムなどのレアメタルに対して行った輸出規制に続き、中国商務部は10月20日、国家安全と利益を保護するために、12月から高純度、高硬度、高強度の黒鉛製品を輸出規制の対象に加えると発表した。
中国は世界最大の黒鉛生産国および輸出国であり、世界の供給量の3分の2を占めている。さらに、中国は全世界の黒鉛精錬市場の70%を占めている。
韓国が輸入した黒鉛の内、中国産が93.7%を占める。今回の規制は韓国の企業に大きな影響をもたらすだろう。
輸出規制に対応するため、韓国の素材製造企業であるポスコ・フューチャーM(Posco Future M)は、人工黒鉛工場の商業生産時期を繰り上げ、元々、生産時期を来年の上半期に予定のところ、年内に生産開始することにした。
韓国政府は23日から産業部の参加する黒鉛需給対応チームを発足させ、黒鉛の数量確保を支援している。また、産業部は中国商務部と中韓貿易部門の高官の協議を予定しており、さらに韓国の経済副首相が参加する中韓経済閣僚会議も予定している。
これらは中国からの黒鉛輸入における許可の遅延回避を目的としている。
中長期の対策として、韓国政府は代替調達と代替材料開発を急ぐ。タンザニアやモザンビークなどの黒鉛産出地で代替リソースを探し、シリコンを用いた負極材を開発する予定だ。
韓国統一研究院の元院長で建陽大学軍事学部教授のキム・テウ氏は10月24日、エポックタイムズに対し、中共の黒鉛輸出制限は中国依存度の高い韓国にとっては困難を引き起こすだろうと語った。
中国への依存度が高く、短期的な影響をもたらすが、長期的には、韓国は代替策を見つけるだろうと語った。
テウ氏は、中国はWTO加盟国として貿易に制限をしないと約束しているが、このように頻繁に資源輸出を制限すれば、韓国は他国に代替品を探すことになると述べた。さらに、韓国は損失を被ると同時に、中共も顧客を失い、全員が損失を被ることになると指摘した。
テウ氏は、中国が過去に日本へのレアアース輸出を制限していたが、日本はすぐに代替手段を見つけ、結果、中国は輸出先を失ったことに言及した。このままでは、他国が脱中共化の動きを加速させるだけだと語った。
日本も積極的に対応
中国税関のデータによると、黒鉛の主要な買い手は日本、米国、インド、韓国となっている。
日本は現在、黒鉛の90%近くを中国から輸入している。日本政府は24日、中国の黒鉛輸出規制措置が国内企業に与える影響を調査し、サプライチェーンの多角化を推進していると明らかにした。
西村経済産業相は24日の閣議後記者会見で、中国による黒鉛輸出規制の影響を精査中、国際法に照らし、不当な措置が講じられている場合には、ルールに基づき、適切に対応していくと述べた。
西村氏はまた、黒鉛は重要な鉱物であり、特定の国に依存しない強力な供給網を構築することが非常に重要だとし、中国への依存を減らすことを示唆した。
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