米国政府は、米国の電気自動車サプライチェーンにおける中国の役割を制限する措置をとっている。情報筋は、バイデン政権が中国製電気自動車(EV)への関税引き上げを検討中だと明かした。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は12月20日、状況に詳しい関係者の話として、バイデン政権は、安価な中国からの輸出品に対抗して、米国のクリーンエネルギー分野を強化するため、EVを含む一部の中国製品に対する関税引き上げを検討していると報じた。
バイデン政権当局は、約3千億ドル(約43兆円)の中国製品に対するトランプ時代の関税を維持した。しかし、情報筋によると、ホワイトハウスや他の省庁の高官は、来年早々に関税の長期的な見直しを完了させることを視野に入れ、再び関税について議論している。
米国は中国製EVに25%の関税をかけており、中共(中国共産党)から補助金を受けている中国の自動車メーカーの米国市場参入を阻止する効果がある。関係者は、中国製太陽電池製品やEVバッテリーパックも関税引き上げの対象にしている。
米国は現在、主に東南アジアの国から太陽電池材料を輸入しているが、中国は依然としてEV用バッテリーの重要なサプライヤーだ。
米国議会の超党派議員は先月、バイデン政権に対し、中国製自動車への関税引き上げと、中国企業が、メキシコを介して米国へ輸出するのを阻止する方法を検討するようにと、要請した。
テスラを含む中国ブランドでない自動車メーカーも、中国のEV輸出の一部を占めている。米国の議員たちは以前、米国自動車メーカーが中国製自動車を米国に輸出しており、現行の輸入関税が十分に高くないことを示唆していると指摘した。
近年は過剰な生産能力と国内需要の鈍化により、中国の自動車輸出が増えており、来年は25%増の530万台になる見込みだと、中国招商銀行国際金融有限公司が発表した。
クリーンエネルギー製品に対する関税引き上げの可能性に加え、バイデン政権は戦略的に重要でない一部の中国消費財に対する関税引き下げも検討していると、情報筋は語った。
シェロッド・ブラウン民主党上院議員とボブ・ケーシー民主党上院議員は、11月にバイデン氏に書簡を送り、中国製品に対する関税を引き下げないよう警告を発した。
「これらの関税は、中国(中共)の不公正を正し、米国の労働者の競争条件を公平にする」
12月1日、バイデン政権は、EVメーカーが中国やその他のライバル国からバッテリー材料を購入するのを阻止する規制を発表した。しかし、同時にバイデン政権は、自動車メーカーが新規則を遵守できるよう、ある程度の柔軟性を与えている。
新規制では、「懸念される外国企業」が生産したバッテリー材料を使用したEVを購入した場合、税額控除を申請できなくなる。 つまり、この新規則により、消費者が7500ドル(約107万円)の連邦税額控除を受けられるEVモデルの数が減ることになる。しかし、米国財務省はまた、いくつかの主要鉱物を新規則の対象から一時的に除外するという。
12月18日、米上院院のエネルギー・天然資源委員会のジョー・マンチンエネルギー委員長(民主党)は、EVの控除に関する米財務省の指針を撤回してほしいと述べた。 同委員長は、この指針は中国への依存度を高めるものだと述べた。
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