公安調査庁が発表する国際テロリズム要覧から「ハマス」や「ヒズボラ」、「PKK(クルディスタン労働者党)」などの情報が削除されたことについて、岸田内閣は12日、情報の参照元を変更したため記載の対象外になったとし、「日本政府の立場について誤解を招いた」とする書面を閣議決定した。松原仁衆院議員の質問主意書への回答。
要覧は毎年、公安調査庁が発表するもので、世界各地のテロ組織を収録している。しかし、11月下旬にウェブ版を更新した際、武装組織ハマスやヒズボラ、PKKなどの情報が削除された。これに対し中東専門家らも取り上げ、懸念を示していた。
松原仁議員は12月1日付の質問主意書で「我が国がハマスによるテロ行為を正当と認定したとの虚偽宣伝に悪用されかねず、由々しき事態である」と指摘。国際テロ要覧にハマスを掲載すべきだとして、政府に回答を求めた。
政府は12日付の答弁書で、ハマスによる今般のテロ攻撃を断固として非難する立場を明確にしつつ、ハマスをテロリストに対する資産凍結の措置の対象としていると述べた。
その上で、公安調査庁の国際テロ組織等一覧は「国際連合安全保障理事会のテロ関連制裁委員会による制裁対象として指定されている組織を記載対象とするよう変更された」ため、対象外だったハマスは削除したという。
結果として「日本政府の立場について誤解を招いた」として、政府はホームページからテロ組織一覧を削除した。また、「更なる対応については、今後、適切に検討してまいりたい」とした。
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