中華民国(台湾)総統選挙は、今年1月13日に投開票される。
投票日まで、残り10日余りとなった今、総統選の候補者3人とも最後の追い込みに向けた激しい選挙戦を進めている。
それと同時に、大陸側の中共中国も、台湾の選挙に介入しようと血道をあげているようだ。
中共高層が指示する「台湾選挙への介入」
中国共産党の狙いの第一は、中国に対して一線を画し、台湾独自の路線を目指す民主進歩党(民進党)の候補が、現総統である蔡英文氏に続いて当選することを何としても阻止することにある。
2023年12月8日に発表された台湾の世論調査によると、与党・民進党で現副総統である頼清徳(らい せいとく)氏の支持率が最も高く、40%を超えている。
頼氏は、現在第2位の最大野党・国民党の侯友宜(こう ゆうぎ、新北市長)氏に10ポイント近く差をつけている。第2野党である民衆党の柯文哲(か ぶんてつ・前台北市長)氏の支持率は、16%にとどまっている。
なお、台湾の総統選は、総統候補と副総統候補のペア(配)で選挙が行われる。そのため、頼清徳・蕭美琴ペアは「頼肅配」。侯友宜・趙少康ペアは「侯康配」。柯文哲・呉欣盈ペアは「柯盈配」と呼ばれている。
また1月13日は、総統選挙とともに、台湾の国会議員である立法院議員の選挙も行われるダブル選挙の日でもある。この二つの選挙に対して、中共は大陸側から影響を及ぼそうとしているのだ。
台湾国家安全局は「中共による台湾への選挙介入」に警鐘を鳴らしている。
それによると、中共の台湾工作を統括する王滬寧(おう こねい)氏は、2023年12月初旬に高層部の会議を開いて「メディアを利用した世論誘導」「台湾の実業家の取り込み」などにより、台湾選挙への秘密裏な「介入指令」を発したという。
また王滬寧氏は、中共が台湾の選挙に介入していることが「外部に知られてはならないと強調した」とされる。
「中共に、いかなる幻想をも抱くべきではない」
中国問題専門家で、エポックタイムズのコラムニストでもある王赫氏は、次のように述べた。
「台湾人民と台湾当局は、もはや中共に対して、いかなる幻想をも抱くべきではない。今、台湾人民にとって最も重要なことは、中共が何であるかを認識することである。誰が台湾の総統になるかは、台湾人の本当の民意によって選ばれるべきだ」
産経新聞社台北支局の矢板明夫支局長も、台湾人に対し「自身の手にある一票を誰に投じるのか。重要なのは、台湾人ひとり一人が、台湾の利益となる最善の判断を、冷静に下すことだ」と呼び掛けている。
台湾のサイバー空間は「最も危険な場所」
台湾国防部が設立する「国防安全研究院(INDSR) 」の研究員助手の呉宗翰(Wu Tsunghan)氏は、エポックタイムズの独占取材に「中共による台湾選挙への干渉計画によって、台湾のサイバー空間は最も危険な場所になっている」と述べ、次のように指摘する。
「人工知能ツールや新種のマルウェア(不正かつ有害に動作させる意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコード)などの急速な発展もあり、台湾は、以前よりも多様化したサイバー攻撃を受けている」
呉宗翰氏によると「2023年上半期だけで、台湾企業は週平均して3245回の攻撃を受けていた」という。
米国を拠点とするサイバーセキュリティ企業フォーティネット(Fortinet)のデータによると、この期間中、1秒あたり1万5000回を超えるサイバー脅威が検知されるなど、台湾はアジア太平洋地域におけるサイバー空間で「最も攻撃を受けている場所」となっている。
呉氏は、中共による台湾選挙への干渉において「情報を利用して人々の考えや行動に影響を与えるとともに、混乱を作り出し、台湾政府に対する国民の信頼を破壊することが中共の目的だろう」と指摘する。
台湾総統選を目前に控えた現在、中共による、台湾に対するサイバー戦はピークに達している。中国戦略支援部隊(SSF)や中国福建省にある第311基地がサイバー戦の管理を行っているという。
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