各国政府がCO2排出量削減に何十億ドルもの資金を投入している。環境保護団体グリーンピースの共同設立者・パトリック・ムーア氏、アラバマ大学ハンツビルの気候学者兼大気科学教授で、地球システム科学センター所長のジョン・クリスティ氏など、何人かの気候専門家は、CO2は必要不可欠であり、一定以上のレベルは問題ではないと言っている。
二酸化炭素と生命
クリスティ氏は、地球の気候は「非常に大きな自然変動性」を持っており、現在は緩やかな温暖化の段階にあると述べた。
「CO2は不当に悪者扱いされてきたが、それは大気中のCO2は植物の餌であり、実は炭素ベースのエネルギーを生み出す。それは間違いなく世界中の人々の生活を改善している」
彼はCO2を”生命の通貨”と呼んでいる。
「過去の時代には、大気中のCO2濃度は現在の何倍もあった」
ムーア氏は、過去5億年間のCO2と気温のグラフを示した。
「CO2と気温が同期しているよりも同期していないことの方が多いのは明らかだ」
つまり、CO2と気温上昇に直接的な因果関係があるという考えは、否定されている。
ムーア氏は、現在のCO2濃度は 「歴史的に低い(レベルだ)」と述べた。
「1億5千万年前にさかのぼると、CO2の量は2000ppmから2500ppmの間だった。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、一般に氷河期には大気中のCO2は低く(180ppmくらい)、間氷期には高くなるという。
IPCCによると、1750年頃の産業革命以前、大気中のCO2は数千年間にわたり約280ppmだった。
NOAA調査の2021年のデータによると、現在の大気中のピークレベルは約420ppmである。
ムーア氏は、現在のCO2濃度が低いことは良いことであると述べ、CO2ネットゼロを目指す政策は災害を招くものだと指摘した。150ppm以下は、ほとんどの植物種にとって「飢餓レベル」とされている。
「現在のCO2は、大気中でわずか0.042パーセントだった。実際のところ、1500~2000ppmは植物の成長に最適だ」とムーア氏は指摘した。
Climate Realists of British Columbiaのパトリック・ハント代表は、人々はCO2を理解していないと述べた。
「世界中の商業温室栽培業者は、意図的に温室内のCO2濃度を800~1200ppmに高めている。一般的に、樹木や植物にとって最適なレベルは2000ppm程度だ」
「地球温暖化は悪いことだと聞かされてきたが、証拠はそれが間違っていることを証明した。暗黒時代(17世紀)はもっと寒かった。小氷河期はもっと寒く、快適な暮らしはできなかった。しかし、中世の温暖化時代には、大聖堂を建設するのに十分な資金が貯められていた」
ハント氏は、地球上のバイオマス、つまり植物の成長は過去40年間で20%増加し、そのうち、70%の原因がCO2のおかげだと語った。
2018年、NASAが発表した報告書は地球の「緑」が増加していることを示した。森林、草原、農場の健全性がより強固になっている。
「皮肉なことに、気候に有害な変化をもたらしているのとまったく同じ炭素排出が、植物の成長を促進しており、それがまた逆に地球温暖化をある程度緩和している」と、報告書の共著者、ノルウェー自然研究所のヤール・ビャルケ氏は述べた。
その後の地図は、地球の「緑」の増加を示し続けている。
気温とCO2
1950年以来、人間によるCO2排出量は「指数関数的」に増加しているが、気温は同じようには反応していないとムーア氏は指摘した。
「CO2排出量と温暖化に因果関係などあるはずがない。原因はCO2だと考えられているが、もしCO2が温暖化の原因であれば、今以上に温暖化しているはずだ」
地球の温度上昇に対する主要な世界的取り組みは、国連のパリ協定だ。パリ協定とは、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より低く保ち、1.5度以内に抑える努力をするために、「世界の温室効果ガス排出量を大幅に削減する」法的拘束力のある国際条約だ。
トランプ前大統領は以前、「パリ協定は、ワシントンが他国の利益のためだけに米国に不利な協定を結ぶ最新の例に過ぎない。雇用の喪失、賃金の低下、工場の閉鎖、経済生産の大幅な低下といった形で、納税者にその代償を払わせる」と述べた。
バイデン大統領は就任初日の2021年1月20日にパリ協定に再加盟した。ホワイトハウスは、「気候危機」は政権が重点的に取り組む「4つの危機」のひとつであり、協定再加盟はそのための重要な手段だと述べた。
ムーア氏は、パリ協定が課した摂氏1.5度の制限を”ゴミ”と呼び、「この1.5度で地球全体が破壊されるのか?地球はその歴史の大半を通じて、1.5度よりもずっと暖かった」と批判した。
「私たちは今、たまたま現代温暖期と呼ばれる温暖化期にある。しかし、化石燃料を使い始めるずっと前、1600年頃にピークを迎えた小氷河期を経ててから、我々は現代の温暖期を迎えた」
ムーア氏は、自身が執筆した査読付き論文の中で、80万年にわたる歴史的パターンによれば、もし人類がCO2の増加を引き起こしていなければ、大規模な氷河期が起こっていただろうと書いた。
クリスティ氏は、余分なCO2は次の氷河期を遅らせるかもしれないが、それほどの差はない、と述べた。
「エネルギーや炭素ベースの製品の利点と、エネルギーや製品なしで生活することの利点を比較した場合、CO2には正味の利点があるのではないか。私はアフリカに住んでいたが、エネルギーがなければ、人生は残酷で短いのだと断言できる」
「CO2濃度が増加しているのは、人間が生活水準を向上させるために、炭素をさまざまな方法で使用しているからだ。気候システムの反応は緩やかで、特にそれが人間の生活にもたらす多大な利益を考慮すれば、完全に管理可能であると私は考えている」
CO2濃度と温度変動
政治と科学の対立
クリスティ氏は、気候科学は”失敗した科学”になっていると述べた。
「私が見る限り、これは特定の政治グループやメディアの大多数に当てはまる」
アスカナス氏は、”CO2の有害性、地球温暖化の傾向、自然災害の増加、北極の氷の融解”について科学的なコンセンサスがあるという、広く流布している概念に反論した。
「これらはすべて政治的に動機づけられた教条だ。いいかげんな、または完全に詐欺的なデータ、統計、そして議論によって支えられている」
アスカナス氏は、気候に関するアジェンダは、政府が政治を完全にコントロールするための手段だと考えている。
同氏は、CO2排出量規制、炭素クレジット、輸送コストの高騰、いわゆるグリーン・イニシアティブに対する巨額の政府補助金など、政府が課す気候変動対策について概説した。
ホワイトハウスの声明によると、バイデン大統領は2024年度予算に、「気候危機への対策」として522億ドルの裁量的支出を盛り込んだ。これは2023年度より109億ドルの増加だ。
ムーア氏は特に、エネルギーシステムにおける化石燃料の段階的廃止に対する支出の効果について懸念を表明した。
「風力発電の場合、あまり先のことまで予測できない。太陽光発電の場合も雲がやってくるので予測できない。そのため、この2つの技術で発電できる時間は1日の3分の1程度だ」
「では、化石燃料をやめたら、風力発電、太陽光発電ができない場合はどうするのか?最初の答えは原子力だろう。しかし、西側諸国はそれを望んでいない」
ムーア氏は風力発電や太陽光発電は「実現不可能だ」と指摘した。
アスカナス氏も同意見だった。
「地球をソーラーパネルと風力発電機の砂漠に変えても、まだ十分なエネルギーは得られないだろう。とはいえ、エネルギーが不要になるほど地球を住みにくくすることはできるかもしれない」
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