少し前に起きた一連の騒ぎにより、いまや「反・中共のメッカ」となった東京都内(中野区東中野)にある、日本人経営の中華料理店「西太后(せいたいごう)」。その後、どうなったのか。
「中国人お断り」と掲示したこの店に、在日の中国人インフルエンサーが相次いで訪れては嫌がらせをするため、一時は営業日でも店を開けられない状態になっていた。
ところがその後、効果てきめんの「魔除け札」を貼ったことで、迷惑な中国人は来なくなった、という話である。
1月27日のランチタイムに、記者(李凌)はこの「有名店」に行ってきた。
店先から店内までびっしりと、習近平を暗喩する「クマのプーさん」や「六四天安門事件」「香港独立」「チベット独立」「台湾独立」など、とにかく中国共産党が嫌がるような「反共ポスター」を掲示していることは、以前からSNSの投稿を通じて知っていた。しかし、いざ店内に入ってみたら、そのグッズの多さと豊富さにびっくりだ。
店に入って、まずお出迎えしてくれたのは、イスに座った少し大きめの「くまのプーさん」のぬいぐるみだった。
その手には「中共党首の顔付き」の、くまのプーさんグッズを持っている。いきなり、あからさまな「習近平いじり」である。
それから、壁から窓まで、貼れる所であればどこにでも、何かしら貼ってあるという感じだ。香港独立支持系、台湾独立支持系、六四天安門事件関連、反共系など、実にそのジャンルは多岐にわたっている。
特に目を引いたのは、パソコン画面に繋がれた「小さくはない防犯カメラ」である。なるほど、これで証拠を撮られるなら、この店で故意に騒ぐ人間はいないだろう。
店内も店外も埋め尽くすほどの反・中共ポスターが、なぜ「魔除け」になるのか。
それは、そういった政治的に敏感なワードが入った画像や動画を中国のSNSに投稿すると、中国の検閲当局によってアカウントが削除されるからである。
「中国人を差別した!」などと言って、以前この店を訪れて騒いでいた中国人インフルエンサーの「目的」は、ひとえにSNSでの拡散にある。それが自身の宣伝にもなるし、収入にもつながるのだ。もちろん彼らは、純粋な愛国心でやっているのではない。
つまり、わざと暴れて、せっかく撮った動画が投稿できず、削除されるなら「わざわざ騒ぎを起こす必要性」もなくなるわけである。
「あれから迷惑な中国人インフルエンサーは、こちらに来てないですか?」と店主に聞いてみると、やはり来ていないそうだ。
「騒ぎは3、4日で終わったよ。あれからは、もう来ていない」「いい魔除けが入ったからね」と店主は自慢げに語る。
隣の席の女性客から「YouTubeを見て、ここに来られたんですか」と、記者は話しかけられた。
常連さんであるという、その女性によると「この店には、近所の人が多く訪れます。このごろ、ようやく落ち着きを取り戻してきましたよ」という。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。