旧正月の初日(2月10日)広東省広州市の高層住宅15階の一室にロケット花火が飛び込み、火災になる事故が起きた。
誰かが地上から打ち上げた花火が、団地の15階の部屋へ飛び込み、出火した。その一部始終を、同じ団地の別棟の住民が、自宅ベランダから目撃し撮影していた。
火災が起きた部屋の住民は出火当時、不在だったという。出火から1時間余り経った後、火はようやく消し止められた。
「花火への規制」が緩和されたが
中国では昔から、年越しなどの祝日には、邪気を祓う目的で爆竹や花火を盛大に打ち鳴らす習慣がある。
ただし、それにともなって発生する火災や爆発事故は非常に多く、また大気汚染の一因にもなるということで、近年は、爆竹や花火の使用を規制する動きが広がっていた。
1年前の2023年1月。この年の旧暦元旦は1月22日であった。その前年の12月はじめに約3年続いたゼロコロナ政策が解除されてから初めての年越し(新暦・旧暦ともに)であったことも重なり、鬱屈した若者たちが各地に大集合して花火を打ち上げた。
さらに、これを規制しようとした警察のパトカーを転覆させ、気勢を上げる騒ぎが各地で連続した。人々はこれを「花火革命」と呼んだ。
そうした前年の経験もあり、中共当局としては、人が集まることへの警戒はするものの、各種の規制が強すぎることで生じる民衆からの反発も懸念される。
そのため最近では、爆竹や花火について規制を緩めたり、規制はあっても積極的には取り締まりをせず、黙認する傾向が見られていた。
広東省広州市でも、今は一部の地区で花火の打ち上げを許している。今回の花火による火災も、そうした背景のもとで起きた事故であった。
(高層住宅の15階の一室に花火が飛び込み、火災になる事故が起きた。2月10日、広東省広州市)
他省でも同様の事故が多発
とは言え、住宅地での花火の打ち上げが、火災につながりやすいのは言うまでもない。
先月30日夜、貴州省貴陽市にある集合住宅でも、地上から打ち上げた火花が部屋に引火し、火災になる事故が起きていた。
火災の起きた部屋の男性は、すぐさま集合住宅に設置された消火用の放水設備を使って火を消そうとした。ところが、接続するホースの金具の口径が合わず、火を消すための放水設備が全く使えなかった。
その後、消防隊が到着してようやく鎮火された時には、出火した部屋のなかにいた男性の母親は亡くなっていた。母親はバスルームに逃げ込んでおり、炎による火傷がひどかったわけではないが、煙と酸欠で生きながら命を絶たれたという。母親の部屋は全焼していた。
母親を亡くした男性は、火災が起きた現場で、後日に撮影した動画を投稿した。
男性はカメラに向かい、建物に設置された消火栓に対して放水ホースの口径が合わないことなど、消火設備が全く役に立たなかった複数の原因を明示した。
その上で男性は「なぜ消火設備が使えないのに、消防検査が合格になったのか」と述べて、集合住宅の管理者や当局による安全検査の杜撰さを、涙ながらに糾弾した。
(「消火設備が使えないのに、なぜ消防検査に合格したのか」と非難する、火災被害者の遺族の男性)
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