今月9日、中国遼寧省営口市大石橋市の政府正門前で「衝突した痕跡もない」のに乗用車が炎上していることがわかり、物議を醸している。
動画に映った問題の車の向きは、ちょうど政府庁舎の正門に向いていた。他の車と衝突した痕跡がないため、ただの交通事故とは考えにくい。燃える車のそばの地面には運転手と思われる人が倒れている。
この動画を撮影した他の車両の搭乗者は興奮気味で「何? 何が起きた?」と政府門前で起きたこの尋常ではない騒ぎに何度も「オーマイゴッド」と繰り返しながら、興味深々な様子だった。
この「事件」をめぐっては、ネット上では「何者かが、車で政府庁舎に突っ込もうとした」「車の運転手が政府門前で自ら車に火をつけて抗議をした」といった情報が流れているが、事実確認はできていない。
関連話題には「誰かが抗議をしたのか? 誰であれ間違いなく勇者だ」といったコメントが多く寄せられている。なかには、「みんな政府に不満を持っている。何か不穏なことが起きないか、心底では期待しているのだ」といった市民の声もあった。
中国で、何か一般市民を巻き込んだ社会報復事件が起きるたび、関連のトピックスのコメント欄には必ずと言っていいほど次のように書き残す人がいる。
「無関係な人を巻き込むな、政府に立ち向かえ。ここを出て左へ曲がれば政府だ。(冤有头债有主,出门左转是政府)」
このセリフはもはや、ある意味、この混沌とした時代に生きる市民の心の内を示す最も正直な気持ち、そして「皮肉」とすらなっている。
現在、この件に関しては当局は情報封鎖に乗り出したようで、政府前で燃える車を映した動画は、中国のネット上で封殺されてしまった。
(2024年5月9日、中国遼寧省営口市大石橋市の政府正門前で燃える乗用車)
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