男性に騙され、当局にたらい回し 女性が赤い服を纏い6階から飛び降り=中国

2024/05/20 更新: 2024/05/22

中国の多くの小説や映画に出てくる凶悪な悪霊、「怨霊」はたいてい、赤い服で登場する。

5月15日、「怨霊になりたい」「怨霊になって復讐してやる!」と誓い、ある女性が自ら「赤い服」を身に着けて、中国広東省広州市の天河区にある巨大ショッピングモール「正佳広場」の6階から飛び降りた。

この女性は「自分をいじめた悪者を庇い、結託する法執行機関(公安や裁判所)に失望した」と書き置きを残していたとされる。

この女性の中国SNSウェイボー(微博)の投稿内容のスクリーンショット画像が拡散され、ネット上で物議を醸した。

女性は5月13日の投稿のなかで次のように訴えていた。(一部抜粋、邦訳)

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「広州の男XXXは、重要な試験を控え、それも失業中の私から1万元(約22万円)を騙し取った。そのうえ、私をうまく騙して性的関係を持った。しかし、関係を持った後、彼とはすぐに連絡がつかなくなった。そして、私は理由もなく別れを告げられ、連絡しようにも私は彼から(通話やSNSなど)ブロックされたことがわかった」

「それから、その男はネット上で私に関するデマを流した。私は数か月にわたりネット暴力に遭い、精神的に虐待された。男はさらに、彼の両親や仲間に、無理やり私の性的な動画を撮影させた。『撮影した動画を削除してほしい』とお願いしても断られた。男は、私の人生を滅茶苦茶にしようとした。何回も警察にウソの通報をして私を陥れた」

「私は正義を求めて、故郷の山西省と広州の間を何度も行き来した。本当に辛かった。私は心身ともに深い傷を負った。しかし、広州の公安は私の訴えの受理を拒否した。『訴訟を起せばいい』と私をたらい回しにした」

「私は広州の公権力に絶望した、だから私はあえて赤い服を着て、飛び降りようと思う。もしこの世に本当に怨霊が存在するのならば、私もそれになりたい、私は最強の怨霊に化けて、可哀そうだった生前の私のために、誰も助けてくれなかった者たちに復讐しようと思う」

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このように心情と死をもって抗議する決心を表明した女性はその後、ビルの屋上に登り、飛び降りようとしたが、その時は飛び降りなかった。

命をとりとめたものの、彼女にはその後も追い打ちをかけるようにひどい仕打ちが待っていた。

女性のSNSによると、広州の公安は「加害者の男に謝罪させる」と言い聞かせ、彼女を警察署へ連れて行くと、身柄を拘束した。さらに彼女の見張り役として故郷から両親まで呼びつけた。

公安からは「社会資源の浪費」と非難され、「自殺したいなら別の管轄区でやってくれ、SNSに投稿するな、うちの管轄外であればどうしようがあんたの勝手だ」と言われた。

その後、法廷では広州の裁判官から「20代にもなって、なぜまだ親の金で男に貢ぐのか」と心無いことを言われた。一審判決では、自分の身に起きたことを「内輪の問題」「女性のほうが他人の権利を侵害している」というふうに判断されたという。

「もう警察のいうことなど信じない、もう警察に罵倒されたくない、私にはそのような価値はない、さようなら」

この投稿を最後に彼女の投稿は途絶えている。

ショッピングモール地区の管轄をする警察署は、「事件については詳細を明かせない」としている。

赤い服の女性の飛び降り事件の後、中国SNSウェイボー(微博)上には「投稿者の女性は飛び降りた女性と別人だ」と主張する書き込みも現れているが、当局の世論操作の手先である「網軍」による投稿ではないかと疑う声も多い。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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