欧州連合(EU)は6月24日、ロシアのウクライナ侵攻に対する第14次制裁を発表した。今回の制裁では、初めてロシアの液化天然ガス(LNG)の第三国再輸出が対象となる。
EU理事会は、69名の個人と47の団体に対して制裁の実施を決定した。これにより、対象者の資産は凍結され、EU市民や企業はこれらの個人や団体に資金を提供することが禁止される。また、対象者はEUへの入国や通過も禁止される。
今回の制裁で注目されるのは、ロシアのLNG輸出に対する初の制限である。具体的には、EU域内でロシア産LNGを第三国に転送するための船上や陸上での再積載サービスが禁止される。ただし、EUへの直接輸入は対象外であり、第三国への再輸出は制限される。また、EUは新たな投資を禁止し、北極LNG2号やムルマンスクLNGプロジェクトなど、建設中のLNGプロジェクトへの物品、技術、サービスの提供を禁止する。
反応と背景
EU外交政策責任者のジョセップ・ボレル氏は声明で、「第14次制裁は、ウクライナを支援し、ロシアの犯罪行為やEUの措置回避を制限し、我々の団結を示すものである」と述べた。ボレル氏は、制裁がロシア経済に大きな打撃を与え、侵略計画を破壊する効果があるとした。
ウクライナ外務大臣のドミトロ・クレーバ氏も、ボレル氏の招待でEU外務理事会に出席し、第14次制裁の重要性を強調した。また、EUが凍結したロシア資産をウクライナ支援に利用する措置を歓迎した。
2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻以来、西側諸国はモスクワに対して包括的な制裁を実施し、段階的に強化している。EUは、ウクライナの領土保全、主権、独立を侵害する行為に対して、現在までに2200以上の個人と団体に制裁を適用した。
制裁回避への対応
輸出入規制の面でEU理事会は、ウクライナ侵略を支援するロシアの軍事・産業複合体に直接関与しているとして、新たに61の団体を制裁対象に追加した。これらの団体には、中国、カザフスタン、キルギス、トルコ、アラブ首長国連邦など、第三国に所在するものが含まれており、貿易制限の回避や無人機製造に必要な敏感物品の調達、ロシアの軍事行動への物資提供に関与していた。
EUはまた、ロシアの工業能力向上に貢献する化学品やプラスチック、機械、電子機器などの輸出をさらに制限し、ロシアの重要な収入源であるヘリウムの輸入も制限する。特定の船舶についても、EU港への入港やサービス提供を禁止する措置が初めて取られ、27隻の船舶が制裁リストに追加された。
さらに、EUは飛行禁止区域の拡大と、EU内の陸路貨物輸送の禁止範囲を広げる。ロシア人またはロシア法人で25%以上の株式を保有するEU運営者が対象となるという。
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