中国の勇気ある弁護士・易勝華(えきしょうか)氏による「中国における遺体転売ビジネス」の告発が、世間に大いなる震撼を与え、中国の多くのメディアまでもが、追跡報道を行うこととなり、話題は中国SNSのトレンド入りした。
しかし、最初の告発の翌日から事件関連ワードは中国のネット上で封殺に遭い、中国大手メディア各社による関連報道も全て削除された。
この勇気ある弁護士も、中国共産党政府の弾圧に遭い、所属法律事務所の「主任」のポストから下ろされたことがわかった。
易弁護士は28日に自身のSNSを更新し、「(同じ法律事務所の)同僚が警察に呼ばれて十数時間以上連絡が取れなくなった」と明かした。
「同僚はこの件(遺体転売ビジネス)とは何の関係もない」との声明を発表したうえで、易弁護士は自身の決意について次のように綴った。
「次は私の番だろう。しかし、いずれにせよ、私は決して友人を裏切らない。彼らは私に多くの時間を費やすだろう、そして私が直面することに関しても想像に難くない。それでもだ。私はそれも覚悟しているし、自分がしたことを誇りに思っている。このような方法で自分の弁護士としてのキャリアにピリオドを打つ、これが最も満足のいく方法だ。私は後悔していないが、ただ関係のない人まで巻き込んでしまったことに少し罪悪感を感じる」
易弁護士の最新投稿には多くの支持コメントが寄せられ、「当局はいつも問題を解決するのではなく、問題提起する人間を解決する」、「この国は終わっている」などと正義感ある弁護士に対する当局の弾圧に、ネット上で憤慨の声が広がっている。
命がけの「告発」
中国で生活したことのない文明国の読者には、想像しがたいのだが、中国で「社会問題を告発する」ことは自身の命、ひいては一家の運命までかけなければならない勇気ある行動なのである。
過去にも「有毒ミルク」や「有毒ワクチン」などさまざまな深刻な社会問題を告発した「最初の人」が政府から弾圧を受け、毒を盛られたり、失踪させられたり、ついには命を落とした実例は大量にある。
つまり、結論として「中国で問題を告発した者」は、誰一人として良い結末を迎えていないのである。
自身の告発がもたらす深刻な結果を承知していたのだろうか。易勝華弁護士は、告発後のSNS投稿で「バラバラ死体になりたくないから、外国メディアの取材はお断りします。官製メディアに勤める友人の取材しか受けていない」と公言していた。
「遺体転売ビジネス」
易勝華弁護士は今月7日、「山西省のある会社は、20~60歳の『病死ではない遺体』を、多くの火葬場や病院から買いあさり、そうして違法に入手した遺体を、暴力的に解体し、骨を加工した後に、移植用に病院に販売していた。事件は公安が調査しており、被告人は70人以上」
「私は長年刑事事件担当の弁護士としてやってきて、あらゆる事件を扱ってきたが、これほどの衝撃的な怒りを覚えるのはこれが初めてだ。火葬場から持ち帰った骨灰は家族のものではないかもしれない。死後に遺体を乱暴に解体するなんて、あんまりではないか! この事実を聞いた時には、全身震えたよ!」とSNSに投稿した。
この衝撃的な投稿はSNSで拡散され、多くの中国メディアまでもが追跡報道をすることになった。
それによると「山西奥瑞生物材料有限公司(山西省太原市)」は2015年以降、複数の火葬場や病院に勤務する医師たちから、遺体を違法に入手して解体を行い、骨を取り出して移植用として販売した。同社は遺体を4千体以上を集め、3億8千万元(約78億円)の利益を得ている。警察は同社から人骨を計18トン押収し、事件に関与した75人を摘発、全員が容疑を認めている」
という。
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