中国とフィリピンが再び衝突、欧米およびインド太平洋諸国が中共を非難

2024/09/03 更新: 2024/09/03

8月31日、南シナ海において、中国共産党(中共)海警局の船とフィリピン巡視船との間で新たな衝突が発生した。この衝突事件は、国際社会からの広範な非難を引き起こし、アメリカ、EU、インド太平洋諸国が中国共産党の行動に対して公然と声を上げている。

アメリカ国務省のマシュー・ミラー報道官は公式声明で、中共海警船がフィリピンの排他的経済水域内で故意にフィリピン海警隊の船と衝突し、船体に損害を与え乗員の安全を脅かす行動を行ったと述べ、中共の行動を強く非難した。ミラー氏はさらに、「中国側が行うこのような危険で段階的にエスカレートする行動は、すべての国の航行および飛行の自由を脅かすものであり、受け入れがたい」と強調している。

また、ミラー氏は、中国が2024年8月にサビナ礁(フィリピン名:エスコダ礁)を含む南シナ海でフィリピンの合法的な空中および海上行動を積極的に妨害していると指摘した。サビナ礁は南沙諸島の一部であり、中共とフィリピンが主権を主張している。

国連海洋法条約(UNCLOS)によると、国家の海岸線から200海里以内はその国の排他的経済水域とされるが、サビナ礁はフィリピンに近く、フィリピンの排他的経済水域に属している。2016年のハーグ仲裁裁判所は、中共の南シナ海に対する領土主張には法的根拠がないと認定したが、中共当局は、この裁判所には領土紛争を裁定する権限がないと主張している。

中共海警局は、国内法に基づき、南シナ海で「侵入」した外国の漁民や乗組員を最大60日間拘留できることを認め、北京が主権を主張する水域で外国船に対して致命的な武力を行使する権限も持っている。この法律は、国際法に基づく航行の自由とは明らかに矛盾しており、多くの国々から批判されている。

フィリピン側は、「中共海警船はフィリピン海警隊が挑発していない状況で、3回故意にフィリピンのテレサ・マグバヌア型巡視船(BRP Teresa Magbanua)に衝突した」と非難している。同船は長さ97メートルで、フィリピン海警隊の最大の巡視船の一つである。この事件は、中共船による挑発的かつ危険な行動の最新例と見なされている。

一方、中共側はフィリピンの船が故意に中国の船に衝突したと主張しており、事実に基づかないと非難している。このような主張は、過去の類似の事件においても見られ、双方の主張が矛盾する中で緊張が高まっている。

これは1か月の間に中共とフィリピン間で発生した3回目の衝突事件であり、空中事件を含めると、7回目の小規模な衝突となる。これらの連続する事件は、地域の安全保障環境にとって重大な懸念材料だ。

各国の大使が中共を非難

アメリカのマリーケイ・カールソン駐フィリピン大使と、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、日本の大使たちは、中共による南シナ海でのエスカレーションに対する懸念を表明した。

カールソン大使は、アメリカが中国共産党の「繰り返される危険かつ国際法に違反する行為」を非難し、「我々はフィリピンと共に国際法を守る」と述べた。

イギリスのローラ・ボーフィル駐フィリピン大使は、イギリスが「サビナ礁近くでの中国船舶によるさらなる危険な行動に関する報道を懸念している」とし、イギリスは「国際法、特に『国連海洋法条約』を尊重し、2016年の仲裁裁定が法的拘束力を持つことを再度強調する」と述べた。

オーストラリアのリュウ・ハイキョン駐フィリピン大使は、オーストラリアも「フィリピンと同様に、南シナ海サビナ礁での中国の安定を損なう行動に懸念を抱いている」と述べた。

「繰り返し衝突する船舶は受け入れられず、危険である。すべての国は国際法を遵守すべきであり、2016年の仲裁裁定はすべての当事者に対して拘束力を持つ」

ニュージーランド駐フィリピン大使館も声明を発表し、最新の事件は「非常に不安を感じさせ、この地域での危険かつ不安定な行動パターンに一致する」と述べた。

日本の遠藤和也大使は、日本は「南シナ海の利害関係国」であり、「武力による一方的な現状変更の試みに反対し、フィリピンおよび海上法治を支持する」と強調した。

欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表のスポークスマン、ナビラ・マスラリ氏は、EUが中国によるフィリピンに対する合法的な海上作業に対する危険な行動を非難していると発表した。

EUの声明は、これらの出来事は「海上での生命の安全を脅かし、国際法に基づくすべての国の航行の自由を侵害している」としている。

中華民国(台湾)外交部も声明を発表し、「中国共産党がフィリピンの船舶に対して違法かつ脅迫的な航行を行い、何度も衝突を引き起こしている」と指摘し、非平和的な手段で南シナ海の緊張を高めていると非難した。

台湾の外交部は、「同じ海域で中国(共産党)が繰り返し意図的に海上衝突を引き起こし、南シナ海の緊張を高めるいじめ行為について、外交部は再度強く非難する」と述べている。

陳霆