時事 深まる詐欺行為疑惑にドイツが中断

中国のCO2排出削減プロジェクトに関わる不正

2024/09/25 更新: 2024/09/25

ドイツ連邦環境庁(UBA)が、EUの「CO2削減証書(カーボンクレジット)」を不正に取得した中国温室効果ガス排出削減プロジェクトに対して調査を行い、大規模な詐欺の疑いで45のプロジェクトの停止を命じた。損失は最大5億ユーロ(約5.6億ドル)に及ぶと見積られている。この調査は、国際的な排出削減努力における重大な信頼性の問題を浮き彫りにするものである。

UBAの調査によると、最大で45の中国の温室効果ガス排出削減プロジェクトが、虚偽の申告やデータの誇張を通じて詐欺を行い、EUのCO2削減証書を不正に取得していた疑いがあるという。ドイツはカーボンクレジット市場に大きく依存しており、これに関わるプロジェクトが停止されることによって、投資企業や投資家が損害を受け、経済全体に悪影響を及ぼす可能性がある。損失は最大5億ユーロに達すると見込まれている。

UBAのディルク・メスナー長官は、EUのCO2削減証書を取得した中国の56のプロジェクトを審査し、これまでに45のプロジェクトの証明書が取り消されたと述べている。

これらの詐欺の疑いが持たれている中国のプロジェクトは、約600万トンの温室効果ガス排出を相殺することを目的としており、その市場価値は15億ユーロ(約17億ドル)に達している。メスナー氏が、実際に回収されたクレジットの量が約400万トンにとどまっていると指摘しており、これはドイツが約5億ユーロの直接的な経済損失を被っていることを示している。

温室効果ガス排出を削減するために、EUは「上流排出削減」システムを設立した。「上流排出削減」とは、サプライチェーン全体での温室効果ガスの排出削減を指し、上流となる材料の購入や輸送における排出を削減することを意味する。

企業は、グローバルな気候排出削減プロジェクトに参加することで、炭素クレジットを取得し、自社の炭素排出を相殺することができる。これらの各「上流排出削減」プロジェクトは、国際基準に基づいて独立した第三者機関によって検証および認証される必要がある。

ドイツ政府連邦環境庁のスポークスマンが述べるには、「監査報告書の疑わしい詳細について質問した際、さらなる調査を行った結果、私たちは影のシステムに直面していることがわかった。それらの詐欺は、偽の画像やその他のデータを通じて、一つ一つ合理的に見える言い訳を作り上げているのである」

連邦環境庁によると、世界には75の「上流排出削減」プロジェクトがあり、そのうち66が中国に位置している。

パンデミックを利用する

「日本経済新聞」は今年1月に、ドイツの排出取引所のウェブサイトに掲載されている中国の「上流排出削減」プロジェクトのいくつかの所在地がGoogleマップ上で砂漠として表示されていること、さらに少なくとも8つのプロジェクトの現地監査がドイツに本社を置く環境監査会社の同じ職員によって行われたことを報じた。ウェブサイト上のいくつかの報告には、施設の存在を証明する画像が含まれていなかったという。

ドイツのシュテフィ・レムケ環境大臣が、連邦議会の委員会で、国際企業であっても大規模なコンプライアンス部門を持っている場合でも、最初はこれらの不一致を特定できなかったと述べ、これが「いわゆる意図的な欺瞞の複雑さを示している」と指摘した。

「ドイチェ・ヴェレ」の報道によれば、これらの詐欺が成功した理由の一部は、認証プロセスにおける独立性の欠如にあるとされている。

この種のプロジェクトの認証評価は、第三者の民間機関によって行われる。詐欺の疑いがあるプロジェクトは、通常、同じグループの人々によって同時に作成、検証、認証される。これらの人々は「上流排出削減」システムに非常に精通しており、専門知識を駆使して抜け穴を突き、実際には存在しない虚偽のプロジェクトに認証を与えているという。

「ドイチェ・ヴェレ」の調査によると、中国が「上流排出削減」プロジェクトの売買市場を形成していることが明らかになった。

詐欺が成功したもう一つの理由は、これらの虚偽のプロジェクトが、COVID-19パンデミックの期間中に申請されたため、認証機関の職員が現地調査や監査を行うことができなかったことだ。

連邦環境庁が述べるには、ベルリンの検察官が17人を調査しており、彼らが商業詐欺を共謀した疑いがあるとのことだ。起訴された者には、「上流排出削減」プロジェクトのテストセンターの取締役社長やスタッフが含まれている。

同様の排出削減プロジェクトが再び悪用されるのを防ぐために、連邦環境庁は今年の初めに一連の措置を講じ、関連する法律を改正した。また、既存の「上流排出削減」プロジェクトの申請プロセスを2年前倒しで終了させた。

新しい規定に基づき、今年の7月1日からドイツは新しい「上流排出削減」プロジェクトの申請を受け付けず、既存のプロジェクトに対する監視措置を強化する。これらの新しい規定は、すべての「上流排出削減」に関連する申請に適用され、中国からの申請に限られるものではない。

周辰
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