オピニオン 脱炭素は意味がなかったのか?

【新発見】地球の気候を動かしているのはCO2ではない

2024/09/27 更新: 2024/09/27

地球が温暖化した理由は、世界的な雲量の減少により、地表がより多くの太陽光を吸収するようになったからだと、2人の研究者が結論づけた。

今年の夏の特徴は、宿泊客を熱烈に歓迎する冷たい屋外プール、素足の裏を焦がすコンクリート、容赦ない灼熱の暑さのなかで溶けるアイスキャンディーだった。

8月の欧州委員会の地球環境や気候変動に関する研究や観察結果をまとめたコペルニクス報告書によると、過去12か月間に世界の平均気温は過去最高を記録し、産業革命前の水準より1.51℃上昇したという。

同様に、アラバマ州ハンツビルにあるアラバマ大学のロイ・スペンサー(Roy Spencer)氏とジョン・クリスティ(John Christy)氏は、衛星データを用いて、8月の平均気温が1991年から2020年までの30年間の平均より0.88℃高いことを突き止めた。

「猛暑は単なる環境危機ではなく、私たちの公衆衛生に対する深刻な脅威であり、全米の地域社会はその対応に苦慮している」とザビエル・ベセラ(Xavier Becerra)(米)保健福祉長官が声明で述べた。

「今直面しているこの極端な暑さは、30年前、40年前に経験したものとは違う。私たちがいるのは、まったく別の世界だ」

8月14日、ジョー・バイデン米大統領は、「 2024年から2030年までの国家暑熱対策戦略」を発表した。これは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、温室効果ガスのひとつである二酸化炭素(CO2)の人為的増加が主な原因であるとして、気温上昇に対処するための追加行動をとるという7月の約束を果たすものである。

中国の気候学者でIPCC第1作業部会の共同議長であるPanmao Zhai氏はある声明でこう述べた。

「気候を安定させるには、温室効果ガスの排出量を強力かつ迅速に、そして持続的に削減し、CO2排出量を正味ゼロにする必要がある」

「他の温室効果ガスや大気汚染物質、特にメタンを制限することは、健康と気候の両方にとって有益である」

コロラド州立大学所属の物理科学者であり研究者であるネッド・ニコロフ氏は、IPCCはCO2に関して間違っているとエポックタイムズに語った。

「温室理論は大気の組成が重要だと主張している」

「彼らは、大気中の二酸化炭素のわずかな増加が地球温暖化を引き起こし、危険な気候変動を避けるためには、化石燃料の燃焼を止めなければならないと主張しているのである」が、

「だが、それは完全に間違っている」と断じた。

 

8月20日、ニコロフ氏と米国森林局の退職気象学者カール・ツェラー氏は、最近の温暖化は二酸化炭素の増加の結果ではないとする研究結果を発表した。

人工衛星のデータを分析した結果、2人の研究者は、地球が温暖化したのは、CO2の増加ではなく、その代わりに、地球全体の雲量が減少したため、地表が太陽光をより多く吸収するようになったからだと結論づけた。
 

アルベドと気候

NASAによると、地球の大気は、地球のエネルギー(地球に出入りするエネルギー量のバランス)収支により常に働いているという。

太陽の短波放射が地球に到達した後、エネルギーは熱放射として宇宙に戻ることが地球のエネルギー収支である。

このバランスが崩れ、より多くの太陽光が吸収されたり、宇宙空間に逃げる熱が不足したりすると、地球の気温は上昇する。エネルギー収支の不均衡は放射強制力として知られ、入ってくるのは短波放射(紫外線、可視光線、および近赤外線から構成)で、出ていくのは長波放射または熱(短波放射や太陽光などよりもエネルギーが低く、通常、地球の表面から放出される熱エネルギー)である。

さらに、地球のアルベド(Albedo=入射された放射/反射された放射、太陽光が宇宙空間に反射される割合)は、地表に到達する放射の量に影響する。

IPCCは第6次評価報告書の中で、人類による温室効果ガスの排出によって、大気中のCO2濃度が上昇したため、地球のエネルギー収支のバランスが崩れ、より多くの熱エネルギーが閉じ込められ、その結果、気温が上昇し、海洋が温暖化していると述べていた。

また、1950年から1980年の間に、「地表の太陽放射が広範囲にわたって減少(または減光)したことを示す証拠」があり、その後、「多くの観測地点で部分的に回復(増光)した」と述べられている。

原因についてIPCCは、「人為起源の空気中に浮遊する微小な固体または液体の粒子エアロゾル排出量の数十年変動が主要な要因であると考えられるが(信頼度は中程度)、雲量の数十年変動も一役買っている可能性がある 」と述べている。

さらにIPCCは、「雲量 」が 「減光 」や 「増光 」に一役買っている可能性を示す研究もあると述べている。しかし、エアロゾルや雲の減光や増光への寄与についてはまだ議論があり、「これらの傾向の起源は完全には理解されていない」としている。

ニコロフ氏によれば、そこで彼の研究が出番になると言う。

 

 IPCCへの挑戦

NASAの雲と地球の放射エネルギーシステム(CERES)のウェブサイトはこう述べている。

——気候は、地球に吸収される太陽光の量と宇宙空間に放出される赤外線エネルギーの量によって制御されている。これらの量は、その差とともに地球の放射収支を決定している。

2000年3月以来、NASAの研究チームは、地球と宇宙空間のエネルギー交換を調べるために衛星データを収集してきた。

ニコロフ氏とゼラー氏は、これらの測定値と「NASAの独立した惑星データから導き出された新しい気候感度モデル」を用いて、地球のアルベド減少が21世紀の地球の気温にどのような影響を与えたかを評価した。

ニコロフ氏はこう語った。

「CO2は目に見えない微量ガスで、太陽光を遮ることはない。それが地表からの熱放射を閉じ込めると考えられている。しかし、それは誤解である。CO2による長波放射の吸収と熱の閉じ込めはまったく異なる物理過程だからだ。熱力学の第二法則によれば、大気のような開放系では、熱を閉じ込めることは不可能である」

ニコロフ氏はまたこう述べた。水蒸気も温室効果ガスであるが、凝縮して雲を形成することで目に見えるようになる。そして、雲は「太陽放射を宇宙空間に反射する」ため、気候に対するその影響は「測定可能で重大」である。

「雲の形成は、部分的には宇宙の力によってコントロールされている。雲が減少すると、惑星のアルベドが低下し、より多くの放射が地表に到達し、気温の上昇を引き起こす」

「我々の論文では、[CERES]プラットフォームからの入手可能な最良の観測結果を用いて、過去24年間の温暖化は、IPCCが主張するような温室効果ガス濃度の増加ではなく、観測された地球のアルベドの減少によって完全に引き起こされたことを示している」
 

図1. CERES EBAF 4.2データセットから得られた月別放射異常: (a) 全天反射短波長偏差をTOA(「Top of Atmosphere」の略で、大気の最上層)における全球平均入射太陽フラックス(すなわち、全球日射量)で割り、その結果得られた比率に100を掛けてパーセンテージに変換して算出した地球の全球アルベド、 (b)放射線の吸収は反射と反対(相補的)であるという事実に基づき、CERESの全天反射短波長偏差に-1を乗じて算出した地球の吸収太陽フラックス  (提供:ネッド・ニコロフ)
 

 

図7. 観測されたGSAT偏差(偏差値)とCERESが報告した地球吸収太陽フラックスの変化の比較。この2つのデータ系列は13か月の移動平均を表し、吸収された短波放射フラックスと高い相関があり、GSAT変動の78%を説明している(R2 = 0.78)。また、GSATは吸収された短波放射束から0か月から9か月遅れており、これはGSATが太陽光吸収の変化によって制御されていることを示している  (提供:ネッド・ニコロフ)

ニコロフ氏によれば、温室理論では、大気の組成は惑星の平均地表温度にとって「非常に重要」であるという。

ニコロフ氏とゼラー氏は、地球を含む太陽系のさまざまな惑星や衛星の環境を記述したNASAのデータに次元解析(次元の定義: 物理量は、長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光の強さなどの基本次元から構成される)を適用することで、惑星全体に共通する新たな関係を発見した。その結果、大気が地表を暖めるのは、温室効果ガスが放射する長波放射ではなく、総圧によって—断熱的に、熱の損失や獲得なしに—地表を温めることが明らかになり、また大気の成分が全球の温度に影響を与えないことが示された。

「断熱加熱(別名断熱圧縮加熱)は、物体が周囲の環境と熱のやり取りを行わずに、その内部で熱が発生するプロセスで、熱力学的にはよく知られたプロセスである。大気の熱効果(現在、温室効果として知られている)の物理的性質に関するこの画期的な発見は、2017年に(我々の)査読付き文献で発表された」とニコロフ氏は語った。

「これが理由で、標高が高くなると気温が下がる。山や飛行機での移動中に涼しく感じるのは、高度が上がると気圧が下がるからである」

ニコロフ氏は、大気の熱効果を評価するために、NASAが測定した月の表面温度と地球の平均温度を比較した。

「このデータは、月は地球と同じ距離で太陽の周りを回っているが、大気がないため、完全な空気のない地球と等価であることを示している」「地球と月との温度差から、地球の大気の正味の熱効果を知ることができる」

ニコロフ氏は、月が地球より平均して約88度ケルビン(摂氏約-185.15度)低いことを発見した。これは重要なことだとニコロフ氏は言う。

「現在、温室理論では、大気がなければ地球は現在より約33度しか寒くならないと主張している。約18度しか寒くならないと主張している人も一部いる」

「つまり、現在の理論は、大気の実際の熱効果を著しく過小評価している。しかし、この88度の温度上昇は全圧によるものである」

「これが、温室理論と我々の新しい気候概念との根本的な違いの一つである」

ニコロフ氏とゼラー氏は、地球のエネルギー不均衡(Earth’s Energy Imbalance, EEI)は、地球が受け取る太陽エネルギーと放出するエネルギーの差)を分析し、「大気上部の吸収された短波放射と放出された長波放射の差として計算」した、そして科学界がそれを誤って解釈していたことを発見した。

「EEIは、現在主張されているように大気中の温室効果ガスの増加による『熱の閉じ込め』によって引き起こされるのではなく、『高度とともに気圧が下がるため、対流圏の上昇気流の中で熱エネルギーが断熱的に散逸することによって生じる』のです」とニコロフ氏は述べた。

具体的には、ニコロフ氏とゼラー氏は数学を用いて、EEIは「実際の不均衡」ではなく「見かけ上の現象」であることを示した。このことが必然的に意味するのは、温室効果ガスの増加による地球系への長期的な蓄熱がなく、IPCCの最新報告書が主張するような「進行中の温暖化」がないことだと彼らは述べた。

 

雲はどこにあるのか?

ニコロフ氏によれば、地球の雲量減少には、銀河宇宙線、太陽風、太陽と地球の磁場の相互作用など、いくつかの原因が考えられるという。

ニコロフ氏はこう述べた。

—―何が雲量を変化させているのかという仮説は持っているが、正確なメカニズムや決定的な理論を持っているわけではない。そのため、予測するためのモデルで数学的に記述することができない。

ニコロフ氏は、「地球のアルベドと雲物理を制御する物理的メカニズムに関する大規模で長期的な学際的研究」を呼びかけた。

ニコロフ氏は次のように述べた。

「現在の気候科学は、雲が減少していること、地球のアルベドが減少していることを認めているが、それが気候の内部変動によるものだとしている」

「これは間違っている! 雲量とアルベドの変化は外部から強制されている。この外部からの強制を特定することが、炭素排出量や(温室効果ガスの)放射強制力を研究する代わりに、今後の研究が焦点を当てなければならないところである」

 

2024年6月14日、西オーストラリア州で見られる雲。Susan Mortimer/エポックタイムズ

 

もし地球の気温上昇が温室効果ガスによって引き起こされたのであれば、観測された以上の温暖化があったはずだとニコロフ氏は言う。

「単純な事実として、太陽の強制力だけで21世紀の温暖化全体を説明することができ、人為的な強制力を考慮する余地はない」

「国連の気候アジェンダにとって、不都合なこの真実は、2021年のIPCC第6次評価報告書において、NASAの雲と地球の放射エネルギーシステムで観測された2000年以降の地球のアルベドの減少や、最近の温暖化への影響について議論されていないことの説明になるかもしれない」

NASAのウェブサイトにある 「太陽は地球温暖化の原因か?」という質問に対しNASAはこう述べている。「太陽は地球の気候に影響を与えることはできるが、ここ数十年の温暖化傾向の原因ではない」

「太陽は生命の源であり、私たちが生存するのに十分なほど地球を暖かく保ってくれている。地球が太陽の周りを回る軌道の微妙な変化が、氷河期が訪れたり去ったりする原因であることはわかっている。しかし、ここ数十年の温暖化は、地球の軌道の変化と関連づけるにはあまりに急激であり、太陽活動によって引き起こされたと考えるにはあまりに大きすぎる」

エポックタイムズは、ニコロフ氏の調査結果についてIPCCにコメントを求めたが、発表時点まで回答を得られなかった。

エポックタイムズ記者。エネルギー政策や政治問題を中心にさまざまなトピックを担当。医療業界における検閲や政府との癒着に関する取材も行う。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる前は、米空軍で軍用機J-STARSの空挺作戦技術者として活躍。
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