アストラゼネカ 中国代表トップを当局が調査 外資駐在員の拘束リスクへの懸念高まる

2024/10/31 更新: 2024/10/31

英製薬大手アストラゼネカは30日、同社の中国代表である王磊さんが中共当局の調査を受けていると発表した。拘束されているかは不明。

アストラゼネカによると、中国代表は2014年に就任し、17年からはアジア太平洋地域を担当する幹部を兼任している。

米ブルームバーグ通信が9月にアストラゼネカの社員や元社員5人が違法行為の疑いで身柄を拘束されたと報じていた。違法なデータ収集と薬物の違法輸入をした疑いで取り調べを受けているとされる。

同社の中国代表が調査されているというニュースが報じられた後、英国とスウェーデンの合弁会社の株価は最大5.3%下落した。

過去にも、中国・北京市で昨年3月にアステラス製薬の現地法人幹部である日本人男性がスパイ容疑で拘束、10月に逮捕されている。今年8月下旬に中国検察当局が男性をスパイ罪で起訴した。昨年11月末に、垂秀夫駐中国大使が高速された日本人男性と面会している。

昨年12月28日には、アステラス製薬は同社プレスリリースで、次世代のがん治療薬の共同研究などで中国バイオ医薬品企業のエルピサイエンス・バイオファーマ(Elpiscience Biopharma)社と共同研究およびライセンス契約を締結した。現地法人幹部の逮捕による影響があるか否かは不明。

契約一時金とライセンスのオプション料を含む最大3700万米ドル(約52億円)をエルピサイエンスに支払う可能性がある。研究は予後不良や免疫チェックポイント阻害剤への抵抗性と関連する白血球を調整し、腫瘍微小環境を再構築し、既存のがん免疫療法に応答しないがん患者に新たな選択肢を提供すると期待されているという。

反スパイ法の恐怖 7つのNG行為とは

中国経済の低迷が続き、中国共産党が各セクターへの規制を強化する中、中国に駐在する外資系企業の従業員の安全に対する懸念が高まっている。

2014年に「反スパイ法」が施行されて以降、少なくとも中国では17人の日本人が拘束され、10人が実刑判決を受けており、日本人がスパイ行為に関わったなどとして当局に拘束されるケースが相次いでいる。

中共当局が1日に施行した改正版「反スパイ法」(反間諜法)では、「国家安全」に危害を及ぼす行為への対策を強化した。しかし、「スパイ活動」の定義は不明確なままで、通常の企業活動がスパイ行為とみなされる危険性も指摘されている。日本の外務省は同法の解釈は「不透明かつ予見不可能」であるとして、注意を呼びかけている。

米国や台湾も「不当な拘束リスク」があるとして渡航を再考するよう勧告している。中国本土に関する業務を取り扱う台湾の政府機関は、リスクを伴う行為を7つ挙げた。

【NG行為7選と想定される罪名】

・学術交流や情報収集

⇨スパイ行為で国家安全を脅かす罪

・中国企業や共産党幹部との親密な交流

⇨スパイ行為で国家安全を脅かす罪

・港湾や軍事演習の写真撮影

⇨違法に国外勢力に情報提供した罪、スパイ行為で国家安全を脅かす罪

・民主主義や自由に関する宣伝

⇨国家政権転覆罪、国家分裂扇動罪、国家安全を脅かす犯罪活動に加担した罪、違法に国外勢力に情報提供した罪

・中国に駐在する外国機関との親密な交流

⇨違法に国外勢力に情報提供した罪

・中国本土の社会情勢等に対する情報収集

⇨スパイ行為で国家安全を脅かす罪

・国境地帯への頻繁な往来

⇨スパイ行為で国家安全を脅かす罪、違法に国外勢力に情報提供した罪

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