トランプ次期米大統領が鉄鋼大手・USスチールの日本製鉄への売却に反対を表明した
トランプ氏は自身のソーシャルメディアで次のように述べた。
「私は、かつては偉大で強力だった米国鉄鋼が外国企業、今回は日本製鉄に買収されることに全面的に反対する」
「一連の税制優遇措置と関税を通じて、私たちは米国の鉄鋼を再び強く偉大なものにする」
「そしてそれはすぐに実現する!大統領として、私はこの取引を阻止する。バイヤー(鉄の取引業者)は用心してくれ」
2023年12月、日本製鉄は昨年12月、149億ドル(約1兆9400億円)でアメリカの大手鉄鋼企業USスチールの買収を宣言した
日本製鉄の買収提案は、USスチールの株主には、圧倒的な賛成を得ていたものの、全米鉄鋼労働組合(USW・全米の鉄鋼他に従事する労働者による労働組合)が強く反対しており、買収作業の障害となっていた。
政治界の反応も否定的でジョー・バイデン現大統領は「アメリカ企業として残るのが望ましい」と述べ、ドナルド・トランプ前大統領は「再選した場合、合併を阻止する」と公言していた。
こうした反対意見について、アナリストのマイク・フレデンバーグ氏は「日本製鉄がUSスチールを買収することを許可することは、短期的な経済的観点からは良いことかもしれないが、そうすることはアメリカの防衛産業基盤の弱体化を加速させ、国家防衛戦略に反することになる」と述べている。
一方、日本製鉄は、主な反対勢力である全米鉄鋼労働組合と、USスチールの協定を遵守する、アメリカ本社をピッツバーグに移転する、解雇や工場閉鎖、海外移転は行わないと保証することなどを約束し、また7月には、トランプ政権の前国務長官マイク・ポンペオ氏を顧問に招聘するなどこうした難局を打開する動きを見せていた。
電撃的なポンペオ前国務長官を顧問に招聘したことについて、読売新聞は「日本製鉄のUSスチール買収が米大統領選と連動して政治問題化している。ポンペオ元長官の招聘により買収交渉を円滑に進める狙いがある」と分析した。
日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は8月、対米外国投資委員会(CFIUS)が審査を進めていることから年内に買収を完了できるとの見方を明らかにしていたものの、1月から大統領となるトランプ氏の今回の発言で、USスチール売却中止がにわかに現実味を帯びてきている。
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