FRBが気候変動リスク監視の国際組織から脱退 日本は?

2025/01/19 更新: 2025/01/19

米連邦準備理事会(FRB)は2025年1月17日、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討する国際組織「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS:Network for Greening the Financial System)」からの脱退を発表した。

FRBは声明で、「理事会はNGFSおよびそのメンバーとの関わりを高く評価してきたが、NGFSによる取り組みの範囲はますます広がり、法律で定められた理事会の責務の範囲外となるより広範な問題を扱うようになった」と説明している。

NGFSは2017年に設立され、中央銀行と銀行監督当局が金融政策の運営や金融システムの監視において気候変動に起因するリスクを組み込むことを支援する目的を持っていた。FRBは2020年に同組織に参加したが、今回の決定によりわずか5年で脱退することとなった。

FRBはこれまで、予備的な分析や報告書を通じて気候変動をその業務に組み込むための措置を講じてきた。しかし、ジェローム・パウエルFRB議長は、FRBが気候変動問題で果たせる役割は限られていると繰り返し主張してきた。

この決定の背景には、FRBの法定権限の範囲を超えた活動を避けようとする姿勢が見られる。しかし、具体的にどの活動が範囲外とされたのかについては明らかにされていない。

今回のFRBの決定は、気候変動リスクに対する金融監督のあり方について、国際的な議論を呼び起こす可能性がある。各国の中央銀行や金融監督当局が、気候変動リスクをどのように捉え、対応していくべきかという問題は、今後も重要な課題として残されている。

日本銀行と金融庁の動向

日本の主要金融当局である日本銀行と金融庁は、NGFSへの参加を継続している。金融庁は2018年6月に、日本銀行は2019年11月にNGFSに加盟した。日本銀行は2024年11月11日、NGFSが公表した長期気候シナリオ等に関する情報を共有しており、この時点でもNGFSとの協力関係を維持していることが確認できる。

日本銀行と金融庁のNGFSへの継続的な参加は、日本の金融システムが国際的な気候変動リスク対応の枠組みに引き続き関与していく姿勢を示している。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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