Google AIの宇宙データセンター建設を計画 SpaceXなどロケット企業と接触

2026/05/14 更新: 2026/05/14

人工知能(AI)の急速な発展に伴い、AIデータセンターへの世界的な需要が高まり続けている。衛星ベースの宇宙システムが、急拡大するAI産業にエネルギーの解決策をもたらす可能性がある中、Googleの広報担当者は12日、エポックタイムズに対し、同社が「SpaceXおよびその他の関係者と、宇宙AIコンピューティングセンター構築を目指す『サンキャッチャー(Suncatcher)』計画の衛星打ち上げについて協議を続けている」と述べた。

マスク氏率いるSpaceXとの最近の協議の詳細についてGoogleは明かさなかった。また、エポックタイムズがSpaceXに打ち上げに関する情報を問い合わせたが、回答はなかった。

Googleが「サンキャッチャー」計画で宇宙進出を目指す

昨年11月、Googleは次世代の宇宙インターネットインフラ構築計画「サンキャッチャー」を発表した。太陽光発電を活用した宇宙データセンターを開発し、AIの演算処理に活用する構想だ。

「太陽エネルギーを最大限に活用するため、自社開発のテンソル処理ユニット(TPU)AIチップを搭載した太陽光発電衛星による相互接続ネットワークの活用方法を探っている」とGoogleは述べた。

「自動運転(Waymo)や量子コンピューター開発などの取り組みに着想を得て、将来的にこのビジョンを実現するための基礎研究に着手した」とも述べており、衛星コンステレーションの設計・制御・通信手法の確立や、Google TPUチップの耐放射線性能試験での初期成果も得られているとした。

次のステップとして、米衛星運用会社プラネット・ラボズ(Planet Labs)との共同ミッションを計画しており、2027年初頭に試作機2機を打ち上げ、軌道上でのハードウェア検証を行う予定だという。

地上にAIデータセンターを建設するには大量の電力と水が必要となり、増大する電力需要は各州の電力網および米国の国家送電網に圧力をかけている。米エネルギー省は、AIの普及と国内製造業の回復により、2050年までに全米の電力需要が2倍になると予測している。

Googleの研究によると、最適な宇宙軌道上では太陽光パネルの発電効率が地上の8倍に達し、ほぼ途切れることなく発電できるため、衛星バッテリーへの依存を大幅に削減できる。将来的に宇宙は、AIの演算規模を拡大する最適な場所となりうる。

宇宙AIコンピューティング実現への4大技術的課題

研究によると、「サンキャッチャー」は太陽光発電衛星のコンステレーション(衛星群)を構築し、衛星間を「自由空間光リンク(free-space optical links)」で相互接続、TPUチップによるAI演算を搭載することで、低軌道上で継続的に大規模な演算能力を提供しながら、地球資源の消耗を抑えることを目指すという。

ただ同研究は、克服すべき4つの技術的課題を挙げている。

衛星間の高帯域通信

AI演算や大規模機械学習には、衛星間の高帯域・低遅延ネットワークが必要となる。「多チャンネル高密度波長分割多重(DWDM)」トランシーバーと空間多重技術の組み合わせで解決できる可能性があるとしている。

衛星の編隊制御

高帯域の衛星間ネットワークには、大規模な密集編隊飛行と太陽との同期軌道飛行が必要となる。ヒル-クロヘッシー-ウィルシャー方程式(Hill-Clohessy-Wiltshire equations)とJAXの微分可能モデルによる精密計算で、衛星編隊の安定飛行と衝突回避が実現できるとしている。

TPUチップの耐放射線性

宇宙は宇宙線で満ちている。Googleが最新TPUチップ「Trillium」に対して高強度陽子線テストを実施したところ、宇宙線・太陽放射に長時間耐える驚異的な耐放射線性能を示したという。

高い打ち上げコスト

Googleはこれを大規模宇宙インフラ開発の最大の障壁と位置づけているが、ロケット打ち上げ技術の進歩と量産化により輸送コストは大幅に低減する見通しで、2030年代半ばまでに同規模の地上データセンターと同等のエネルギーコストを実現できると予測している。

SpaceXとの協議における打ち上げコストについて、Googleは詳細を明らかにしていない。

マスクのSpaceXも独自の宇宙データセンター計画を推進

6日、マスク氏は新たなビジネスモデルを概説した。旗下のSpaceXが宇宙にスーパーコンピューターと宇宙データセンターを建設し、余剰AI演算能力を他社にレンタルする計画だ。

ただしマスク氏は、利用企業が自社開発のAIの動作に責任を持つことが条件だと強調した。氏はXへの投稿で「SpaceXが公正な条件と価格で競合他社の衛星を数百機打ち上げてきたように、AIが人類に貢献することを確実にするための適切な措置を講じた企業に演算リソースを提供する」と述べた。

また「AIを人類に害をなす目的で利用する企業に対しては、演算リソースを撤収する権利を留保する。われわれはすべての人にとって豊かで良い未来を創るべく最善を尽くす。人は誰でも過ちを犯すが、迅速に行動して是正していく」とも警告した。

なお未確認情報として、SpaceXがルイジアナ州のピーカンアイランドとフレッシュウォーターシティ付近で約13万6千エーカーの湿地を取得した可能性が伝えられている。同地は液化天然ガス(LNG)資源へのアクセスが容易で、既存の発射施設であるテキサス州ボカチカとフロリダ州ケープカナベラルの中間に位置している。

この報道を受け、マスク氏とSpaceXは12日にそれぞれXで、国内外の複数の候補地を将来の国際宇宙発射場として評価中であることを認めた。ただしマスク氏は当該土地の取得を明確に認めなかった。

SpaceXは「将来的には毎年スターシップを数千回打ち上げることを目指している……その打ち上げ頻度を達成するには、複数の異なる拠点から打ち上げる能力が必要となるため、スターシップの運用拡大に向けて国内外の適地を継続的に探索している」と述べた。

呉瑞昌
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