旧暦大晦日の夜から放送するのは、中国中央電視台(CCTV)の年越しの歌番組で、「春晩(春節連歓晩会)」と言う。
日本メディアは、これを「中国版のNHK紅白歌合戦」などと呼んでいる。しかし、実際には日本の紅白とは大違いで、その内容や演出はひたすら中国共産党を賛美し、宣伝する政治的意図に満ちているものだ。
中国が目指す目指す「強国への道」や、経済的成果を誇示するような春晩の洗脳宣伝は、ピンクちゃん(若い世代の未熟な共産主義者で小粉紅とも呼ばれる)を除いた正常な人は、不快感を覚える人も少なくない。
「退屈でぎこちなく、おまけに創意もない。ジョークは面白くないし、プロパガンダばっかり」というイメージが定着しているのだが、今年は思いがけない点を注目されて話題になった。
例えば、司会者でありCCTVの人気キャスターでもある・撒貝寧(サー・ベイニン)氏の太眉メイクに関しては、「クレヨンしんちゃんかと思った」といった感想が殺到し、関連トピックスが中国SNSのトレンド入りした。

ほかには「出演者による見せかけの演唱疑惑」、「司会者たちの愛国は口だけ疑惑」なども指摘している。
今年も、「春晩」の会場は至る所にファーウェイをはじめとする中国の国産(愛国)ブランドが散りばめられ、司会者たちは「おススメよ!」と露骨に強推しをする。
しかし、番組が全力挙げて推す「ファーウェイ」のライバル社のスマホやパソコンが司会者や出演者によって愛用されている事実が、バレたのである。
きっかけは、司会者の1人である尼格買提(にかくばいてい)氏のSNSアカウントに公開されたあるマズイ写真だ。
なんと、尼格買提氏本人を含む春晩司会者たちが集団で自撮りする際の、彼らの手に持つ携帯はiPhoneだったと言う。
「自身や同僚のiPhone使用」の事実をうっかり、ばらしてしまった尼格買提氏は、指摘の声が上がると、すぐに問題の写真を削除し、代わりにファーウェイの携帯を手に持って記念撮影する写真に差し替えた。
「なぜファーウェイを使わないのか? 愛国してないのか?」といった愛国ユーザーからのバッシングが殺到しているが、アップルの使用は司会者たちだけではない。
「春晩」スタジオにあったノートパソコンもアメリカのアップルだったのだ。ただしアップルのロゴの上にはシールが貼られるなどの隠蔽工作がしっかりと行われていた。

皮肉なことに、2019年の初日、ファーウェイの公式X(旧ツイッター)アカウントが公開した「新年の挨拶」のツイートは、アップルの携帯電話が使用されていたことが一時話題になった。
なんとも「皮肉」である。
「愛国はビジネス、だから口だけ愛国」はもはや現代中国の社会現象だ。
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