日本の農林水産物・食品輸出額1.5兆円突破 米国20年ぶり最大輸出先に

2025/02/10 更新: 2025/02/10

2024年の日本の農林水産物・食品輸出額が、過去最高を更新し、初めて1兆5,000億円を超えたことが分かった。農林水産省が2月4日に発表した「農林水産物輸出入情報」によると、2024年の輸出額は前年比3.7%増の1兆5,073億円となった。輸出額上、20年ぶりにアメリカが首位となったことを日本貿易振興機構(ジェトロ)が報じた。

輸出額の上位3品目は、アルコール飲料が1,337億円で1位、ホタテ貝が695億円で2位、牛肉が648億円で3位となっている。アルコール飲料の中でも日本酒の輸出は増加したが、ウイスキーは原酒不足などの影響で中国向けを中心に減少した。

ホタテ貝の輸出先に大きな変化が見られた。東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出に伴う規制強化の影響で、これまで上位だった中国と香港に代わり、ベトナムやタイなどが新たな輸出先として台頭してきている。特にベトナム向けの輸出は、前年の12.9倍と大幅に増加した。

輸出額を国・地域別に見ると、アメリカが2,429億円で1位、香港が2,210億円で2位、台湾が1,703億円で3位となった。注目すべきは、2021年以降最大の輸出先だった中国が4位に後退し、20年ぶりにアメリカが首位に返り咲いたことである。

アメリカ向けの輸出では、アルコール飲料、ブリ、ホタテ貝が上位3品目となった。また、緑茶やソース混合調味料の輸出も好調だ。アメリカでアルコール飲料が好調な理由として、日本酒の在庫調整が落ち着いたことや、外食需要の高まりが挙げられている。

日本政府は、農林水産物・食品の輸出額を2025年までに2兆円、2030年には5兆円に拡大する目標を掲げている。今回の結果は、その目標に向けて、着実に前進していることを示した。

この輸出額の増加は、日本の農林水産業や食品産業にとって明るい兆しとなっているが、しかし、一部の国による輸入規制や国際情勢の変化など、課題も残され、今後も、品質の高さや安全性を、アピールしながら新たな市場開拓や既存市場での地位強化が求められるだろう。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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