台湾の半導体大手・台湾積体電路製造(TSMC)は、米国での半導体製造能力を強化するため、新たに1,000億ドル(約15兆円)の追加投資を行うと発表した。これにより、TSMCの米国における総投資額は1,650億ドル(約25兆円)に達する見込みだ。ドナルド・トランプ米大統領は3日、TSMCの魏哲家(C.C. Wei)最高経営責任者(CEO)とともにホワイトハウスで記者会見を開き、同計画について説明した。
TSMCは現在、アリゾナ州フェニックスで進めている650億ドル規模の半導体製造プロジェクトを基盤とし、新たに3つの半導体工場(ファブ)と2つの先端パッケージング施設、さらに大規模な研究開発センターを建設する計画を明らかにした。この投資は、米国における単一の外国直接投資としては過去最大規模となる。
魏CEOは、「2020年にトランプ大統領のビジョンと支援のもと、米国での先端半導体製造の確立を目指し始めた。このビジョンは今、現実となった」と述べ、「AIが私たちの日常生活を変革しつつある中で、半導体技術が新たな能力と応用の基盤となっている。アリゾナでの最初の工場の成功、政府の支援、顧客との強固なパートナーシップを背景に、米国での半導体製造投資をさらに拡大する」と語った。
TSMCのアリゾナ工場では現在、約3,000人が雇用されており、2024年末から量産を開始している。今回の投資拡大により、今後4年間で建設関連の雇用が40,000人増加し、半導体製造や研究開発分野で数万人規模の高給・高技術職が創出される見込みだ。さらに、アリゾナ州を中心に、今後10年間で2,000億ドル以上の経済波及効果が見込まれている。
TSMCはすでにアリゾナの最新工場に加え、ワシントン州カマスに半導体工場、テキサス州オースティンとカリフォルニア州サンノゼに、設計サービスセンターを運営している。今回の投資拡大により、米国内での先端半導体技術の生産が強化され、TSMCとして初の米国内での先端パッケージング施設も設立される予定だ。これにより、米国におけるAI向け半導体供給網の確立にも貢献するとみられると言う。
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