ローマでの米・イラン核協議 濃縮ウラン問題で双方の意見が対立

2025/05/24 更新: 2025/05/24

5月23日、イランとアメリカは、イタリアのローマで第5回の核交渉を開始した。両国はテヘランの核プロジェクトに関する長期的な対立を解決しようとしているが、重要な濃縮ウランの問題では依然として行き詰まった。アメリカはイランに対して完全な濃縮停止を求めており、イランは濃縮を許可しなければ合意は成立しないと警告した。

この交渉は両国にとって非常に重要だ。アメリカのトランプ大統領は、テヘランが核兵器を製造する可能性を抑制し、地域的な核軍備競争を引き起こさないようにしたいと考え、一方、イランは、アメリカの制裁を解除し、石油輸出に依存する経済を再生させたいと望んだ。アメリカとイランの双方は、外交的手段での行き詰まり解決を望んでいると表明しているが、いくつかの問題において、依然として深刻な対立があり、交渉の見通しは不透明だ。

ローマでの会談は、オマーンの外相の仲介により実現し、ローマにあるオマーン大使館で行われた可能性があり、アメリカ側からは、トランプ政権のスティーブ・ウィトコフ中東特使とマイケル・アントン国務省政策企画局長が出席したという。一方、イラン側ではアッバス・アラグチ外相が交渉した。

ウラン濃縮は依然として米国とイランの争点

交渉の最大の争点は、イランのウラン濃縮活動だ。米国の立場はますます厳しくなっており、ウィトコフ氏は当初、イランがウランを3.67%まで濃縮することを受け入れると述べていたが、その後立場を変更し、イランは濃縮活動を全面的に停止しなければならないと表明した。

米国のマルコ・ルビオ国務長官は今週初め、ワシントンが、イランの民間原子力計画の発展を許可する合意を達成するために努力しているが、ウラン濃縮は行わないべきだと述べた。ルビオ氏は「このような合意を達成するのは容易ではない」と認めた。

23日の朝、アラグチ氏はオンラインで「濃縮を禁止することは、私たちには何の合意もないことを意味する」と強調した。イランの最高指導者ハメネイ師も、米国の要求が「過剰で不合理」であると批判し、交渉が成果を上げるのは難しいと述べた。

交渉の障害の一つは、テヘランがすべての高濃縮ウランの備蓄を国外に運び出すことを拒否し、弾道ミサイル計画についての交渉も拒否したことだ。

衝突のリスクが高まる中 イスラエルがイランの核施設を攻撃することを検討しているとの報道

CNNは米国政府の情報筋の話を引用し、軍事衝突のリスクが交渉の圧力を高め、イスラエルがイランの核施設に対して、攻撃を準備中の可能性があると報じた。

これに対し、22日にアラグチ氏は警告し、もしイスラエルの行動がエスカレートすれば、イランはその核施設を守るために「特別な措置」を講じるとし、米国に対して、それを阻止しなければ法的責任を負うことになると警告した。

イラン当局はその日、フォルドゥの地下濃縮施設の外で、学生たちが人間の壁を作ることを許可し、守護と抗議の意志を示した。

米国 イランは1週間以内に武器級ウランを十分に生産できる

アメリカ国防情報局(DIA)は今週、イランが核兵器の開発を決定した場合、現在の技術条件に基づいて、十分な量の兵器級ウランを生産するまでの時間は「おそらく1週間未満である可能性がある」と指摘した。

DIAの最新の報告書では、「イランはほぼ確実に核兵器を生産していないが、近年の行動により、核兵器を生産する能力が高まり、これらの行動により、最初の核装置を製造するために必要な兵器級ウランの生産時間が、1週間未満に短縮された可能性がある」と述べた。

しかし、専門家は、たとえそうであっても、イランが実用的な核弾頭を製造するには数か月の時間が必要であると指摘した。

陳霆
関連特集: 国際