すでに操り人形? 習近平の権力崩壊と孤立の現状

2025/05/31 更新: 2025/05/31

中国共産党(中共)の習近平党首は、急速に権力基盤を失っている。軍と党における粛清、側近の排除、元老や軍幹部の台頭などにより、中国の政局は大きく動揺している。

最近、大紀元は中共上層に通じる確かな情報源から極めて重要な情報を入手した。現在、党・政府・軍の最高指導者という肩書を保持する習近平は、表面上こそその地位にとどまっているが、実質的には完全に行き詰まりを迎えた。中共元老の温家宝や、中央軍事委員会第一副主席の張又侠が、政局の主導権を握る存在となっている。

習近平の権力崩壊の舞台裏 昨年春から始まった変化

情報筋の分析によれば、習近平は昨年4月から権力を喪失し始めた。何度も挽回を試み、場合によっては軍事力の行使を画策したが、いずれも成果を得られなかった。現在の習近平は、自らの意志ではなく、他者の指示通りに「演技」する状態に陥っている。ロシア訪問もその一環であり、行動のすべてが台本に基づいて進められている。中共上層部は今なお次の一手を決定できず、混迷を深めている。

習近平の権力崩壊の背景 病と政敵の巻き返し

昨年7月、習近平が突如として入院したことが政局の転換点となった。以後、習近平の求心力の低下を示す情報が次々と浮上している。彼は政敵の排除を進めた結果、党内のほぼ全派閥を敵に回した。その結果、内政・外交ともに停滞し、経済・社会・政治の全領域で危機的状況が進行中である。

こうした中で、元老と一部の高級軍人は中央軍事委第一副主席・張又侠と連携し、習近平の権限、とりわけ軍権を大幅に削ぐ断固とした措置を実行した。

習近平「側近」壊滅 軍内粛清と孤立の進行

最近、習近平が最も信頼を寄せていた軍の要人である中共政治局委員・中央軍委副主席の何衛東上将、そして軍委政治工作部主任の苗華上将が相次いで摘発対象となった。これにより、習近平の軍内における「両腕」とも呼べる支柱を失った。

苗華と何衛東の摘発は個別の問題にとどまらず、彼らに連なる多数の高級軍人を巻き込んだ大規模な粛清へと発展した。中共上層に精通する権威筋によると、両者は軍内に強固な派閥を築き、「軍の安全と安定を損なう」政治団体を形成していた。

この「苗華・何衛東グループ」には、何宏軍上将(軍委政治工作部常務副主任)、王仁華上将(軍委政法委書記)、王厚斌上将(火箭軍司令員)、林向陽上将(東部戦区司令員)、王秀斌上将(元南部戦区司令員)、韓衛国上将(元陸軍司令員)、秦樹桐上将(元陸軍政委)、袁華智上将(海軍政委)、王春寧上将(武警司令員)、張紅兵上将(武警政委)、趙克石上将(軍委後勤保障部初代部長)などが名を連ねており、軍の中枢に深く食い込んでいた。

この派閥の崩壊により、習近平は軍内で最も頼りとした側近たちを一掃され、「支援なき司令官」という立場に追い込まれた。

消えた「核心」 現在の習近平の立ち位置

習近平にとって軍権は政権維持の要であった。軍権の喪失は、内政・外交の主導権、幹部人事の決定権、「唯一の権威」としての独裁性、「指導的方向性」の発信力、すなわち「習核心」の地位の完全な崩壊を意味する。現在の習近平は、名ばかりの指導者に成り果て、政治的に孤立している。

国内外での活動を続けているものの、それはすべて「用意された台本に従う演出」であり、実質的な統治能力はもはや存在していない。

国際社会の視線 シンガポール前首相夫人の異例の動向

4月21日と23日、シンガポールの前首相リー・シェンロン氏の妻ホー・チン氏が、フェイスブックで習近平批判の記事を連続してシェアした。2本目の記事には、マスクを着用して椅子に一人で座り、落胆した様子を見せる習近平の写真が添えられていた。

シンガポール政府は中共高官と深い関係を築いてきた。初代首相リー・クアンユーおよび前首相リー・シェンロン父子は何度も中国を訪問し、ホー・チン氏が17年間(最高経営責任者)CEOを務めた政府系投資会社テマセクは中国に巨額の投資を行ってきた。このような背景を持つ人物が習近平批判を発信したことは、国際社会における彼の信頼喪失と失脚の現実味を裏付ける動きである。

王友群
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