新型コロナワクチン「感染防止効果はあまりなかった」尾身茂氏発言 波紋広がる

2025/06/10 更新: 2025/06/10

新型コロナウイルス対策分科会の元会長である尾身茂氏が、6月8日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演し、新型コロナウイルスワクチンについて「感染防止効果は、残念ながらあまりなかったワクチンです」と発言した。この発言は、放送直後からSNSや各種メディアで大きな反響を呼んでいる。

番組では、新型コロナ対応の総括をテーマに、専門家や有識者らがワクチンの効果や副反応、情報発信のあり方について議論した。尾身氏は「若者は重症化しにくく、ワクチンの副反応が強いため、接種は本人判断でと初期から訴えていた」とも説明したが、共演者からは「そう聞いていなかった」「接種推奨と受け取っていた」との指摘もあり、当時の認識のずれが浮き彫りとなった。

尾身氏の「感染防止効果はあまりなかった」との発言については、当時のワクチン政策や専門家の説明に対する疑問や不信感を示す声がSNS上で多く見られた。「もっと早くそう言ってほしかった」「なぜ止めてくれなかった」といった意見や、ワクチン接種による健康被害を訴える投稿も目立った。

一方、ワクチンの効果については、厚生労働省や国立感染症研究所などの一次情報源によれば、初期の臨床試験ではファイザー社やモデルナ社のワクチンが発症予防効果約95%と高い有効性を示していた。しかし、変異株の拡大とともに感染予防効果は低下し、特にオミクロン株流行下では発症予防や感染予防の効果が限定的であったことが国内外の研究で報告されている。2022年以降の国内研究では、2回接種後の発症予防効果は約20~40%程度にとどまり、時間経過や変異株の影響でさらに低下する傾向が確認されている。

尾身氏は番組内で「ワクチンをやったら絶対に感染しないという保証はないし、実際に感染した人がいる」とも述べ、ワクチンの限界についても言及した。また、若年層への接種については「本人の判断で」と繰り返し強調したが、当時の情報発信や社会的雰囲気とのギャップが議論を呼んでいる。

今回の発言をきっかけに、コロナ禍における専門家や行政、メディアの説明責任や情報公開のあり方について、改めて検証を求める声が高まっている。ワクチンの効果やリスクについては、今後も一次情報源に基づく冷静な議論と、正確な情報発信が求められる。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。