中共がレアアース技術流出を統制強化 港湾支配で米国に対抗

2025/06/27 更新: 2025/06/27

中国共産党(中共)商務部は最近、国内のレアアース関連企業に対し、技術者の個人情報提出を要求、「レアアース専門家監視リスト」の構築を進めている。これは技術流出の遮断を狙った措置だ。

専門家の見解によれば、中共はレアアース供給チェーンにおける主導権を維持しようとしているが、国際社会は代替体制の整備を急速に進めており、中共の計画は実現困難と見られている。

中共商務部は国内企業に対し、技術者の学歴や研究背景、個人情報など詳細な経歴の提出を命じ、「専門家監視リスト」の作成に着手している。

ウォール・ストリート・ジャーナルは6月25日、事情に精通した関係者の話として、このリストが上流のレアアース加工技術者のみならず、下流の磁石製造技術者までを対象に含めていると報じた。また、一部の技術者には出国を制限するため、パスポートの提出も求めている。

米サウスカロライナ大学エイケン・ビジネススクールの謝田教授は次のように指摘する。

「アメリカをはじめ、モンゴルやウクライナなど各国がレアアース分野での協力体制を進めており、欧州も中共の独占に対抗すべく再び動き出している。中共が握る独占の手段は、徐々にかつ急速に効力を失いつつある。一方で、中共当局はレアアース分野の重要人材の流出や損失によって、独占体制に亀裂が入ることを懸念している」

アメリカ地質調査所の統計によれば、西側諸国のレアアース需要は現在も拡大しているが、中国の世界生産に占める割合は2010年の97.7%から2019年には約63%へと低下した。

米中間の関税戦争が激化した際、中国は一時的に7種のレアアースの輸出を停止し、アメリカへの対抗措置とした。しかしこの措置は実効性に乏しく、象徴的な行動に過ぎなかった。両国はその後2回の交渉を重ね、磁石や重要なレアアース製品に関する輸出規制を緩和した。

謝田教授は次のようにも語る。
「中国は、レアアース供給全体を完全に掌握することはできない。ただし、生産と精製の過程をコントロールすることで、影響力を維持している。これを脅しや交渉材料として使っているが、すでに効果は薄れつつある」

さらに中共は、アメリカに対抗する戦略の一環として、レアアース市場の主導権確保にとどまらず、世界の主要港湾への影響力拡大にも注力している。これによってアメリカのグローバルな軍事・物流体制への妨害を図っている。

米戦略国際問題研究所(CSIS)の報告は、中国企業がラテンアメリカおよびカリブ海地域で建設・運営している港湾が31か所に達し、現地インフラに対する影響力が従来の推定を大きく上回っていると明らかにした。

軍事番組『探索時分』の司会者である周子定氏は次のように述べている。
「サプライチェーンは地理的に広く分散しており、物流は製造業の根幹を成す。港湾支配によって、有事や緊急時には相手国に対し重大な戦略的打撃を与える可能性がある」

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