和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド(AW)」で飼育されていたジャイアントパンダ全4頭の中国返還を巡り、和歌山県の宮崎泉知事は1日の定例記者会見で、パンダを再び呼び戻すために努力する考えを改めて示した。
宮崎知事は1日の定例記者会見で、「次の契約に期待し、中国側との協議で県が手伝う場面があれば努力したい」と述べ、再度貸与を求める考えを示した。
「パンダが来るのであれば何がなんでも和歌山県に持ってきたい」「一日も早くまた会えることを強く期待している」とも述べた。
記者から「観光ポスターにパンダを使う機会が多かったが、パンダはもう使わないか」と質問されると、宮崎知事は「それは難しい質問」と語った上で、「全くいなくなるのも寂しい」と話した。
先月28日、飼育していたメスのジャイアントパンダ「良浜(らうひん)」と子どもの「結浜(ゆいひん)」「彩浜(さいひん)」「楓浜(ふうひん)」の4頭全てが中国に返還された。
パンダの容姿に隠された中共の意図
パンダをめぐっては、日本側の貸与について賛否両論ある。日本にはパンダのファンが多い一方で、パンダを外交手段とする中国共産党政権のやり方に疑義を呈する声も出ている。
政治評論家の三浦小太郎氏は、パンダがメディアの話題を独占し、本来優先すべき人権や環境問題を覆い隠してしまう点を批判する。そのうえ、「パンダという本当に絶滅危惧種の野生動物を、そういう政治や外交とか、もっと言ってしまえばレンタル料とかお金の問題にしてる中国政府のやり方が問題」だと指摘した。
対中外交において、優先すべき話し合いをした上で、レンタルするか否かを決めるべきだと述べた。
中国共産党政権の「パンダ外交」には、ジャイアントパンダという国際的に愛される動物を利用して、他国との友好関係を深め、中国共産党政権の国際的イメージを高める「ソフトパワー」戦略という面がある。
また、パンダのレンタル料は年間1億円前後の費用がかかるうえ、飼育費用は数千万円、また死亡時の補償金は約5千万円かかる。
上野動物園では、パンダのレンタル料として年間約95万ドル(約1億円)を中国側に支払っているが、この費用は東京都が負担しており、税金で賄っている。
元東京都知事の石原慎太郎氏は「高い買い物だよ」とパンダ誘致に難色を示していた。
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