中国 窓を割り密閉列車で窒息しかけた乗客たちを救った「英雄」が連行される

「窓割りの英雄」に称賛と弾圧 中共が恐れる「最初の一人」【動画あり】

2025/07/11 更新: 2025/07/15

7月2日夜、中国浙江省金華市で旅客列車と貨物列車が接触し、旅客列車は脱線。約3時間にわたり駅近くに停車した。事故の衝撃で電源が絶たれ、空調も停止。密閉された車内は蒸し風呂状態となり、頭痛や嘔吐を訴える乗客が続出した。

緊迫した車内で、一人の若者が車両備え付けの非常用ハンマーを手に車窓を砕いた。割れた窓から外気が流れ込むと、車内の温度は一気に下がり、乗客たちは「よくやった!」「あんた英雄だ!」と歓声を上げ、拍手が沸き起こった。ある乗客は「風が入ってきたとたん、皆がようやく呼吸できた。あの一撃で命が救われた」と語った。

しかしその後、「英雄」は鉄道警察に連行された。この「英雄逮捕」のニュースは瞬く間に広がり、SNSでは「命を救う行動に対する処罰などありえない」「あれこそ公共安全のための行動だ」と、世論が炎上した。

強まる批判を受けて、当局は「拘束はしていない。批判教育にとどめただけ」と釈明したが、「命を救った行動に教育とは、どういうことか」「むしろ表彰すべきだ」と、さらに怒りの声が噴き出した。

 

当時の様子(スクリーンショット)

 

その後、中国国営メディアは一斉に反発し、「窓を割る行為は公共秩序の破壊」「感情的で危険な行動」「このような例を称賛すれば社会のルールが崩壊する」などと批判する論評が次々と発表された。

だが、こうした報道はかえって反感を呼び、「人命より秩序が優先されるのか」といった批判が広がった。「あの窓は中共の封鎖社会を象徴していた」「当局が恐れているのは最初の一人だ」との投稿がSNSに相次ぎ、事件は単なる事故対応を超えて、政治的な象徴へと変貌した。

実際、官製メディアが事件直後から繰り返した「感情の暴走」「秩序の破壊」といった表現は、政権中枢がこの行動を象徴的な挑戦とみなしていた証拠だ。

割られたのは、単なる一枚のガラスではない。砕かれたのは、命よりも重要視されてきた「秩序」という名の密閉空間。そこに吹き込んだ風は、乗客の命を救っただけでなく、中国社会に「自由の空気」をもたらしたのだ。

結局、中共が本当に恐れているのは、秩序が壊れることではない。その先に、「もっと自由を求めたい」という声が次々と生まれることなのだ。そして何より恐れているのは、誰かがまた、次の「窓」を砕くことである。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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