中共がロシア支援に傾斜か 「米欧の包囲網に直面」=専門家

2025/07/19 更新: 2025/07/19

トランプ大統領は7月14日、ロシア産石油を購入する国々に対し、100%の二次制裁関税を課す方針を発表した。ところがその翌日、中共の党首は、北京がモスクワへの支援を一層強化する意向を明らかにした。専門家は、この動きが国際的な地政学の構図に変化をもたらし、欧米をはじめ、各国が中共に対抗する連携をさらに強める契機になると指摘している。

トランプ氏は14日、「ロシアが50日以内にウクライナとの和平合意に至らなければ、米国はロシア製品に100%の関税を課す」と表明した。あわせて、上院議員の多くが、ロシアを支援するすべての国に最大500%の関税を課す権限を大統領に付与することに同意しており、これはいわゆる「二次制裁」として発動される見通しだ。

15日には、中共の党首・習近平がロシアのラブロフ外相と会談し、いわゆる「中露全面戦略協力パートナーシップ」の重要性を改めて強調した。また、国連などの国際機関における相互支援の強化を約束している。

専門家らは、中共によるロシア支援は避けがたいとし、その結果として欧中関係は決定的に損なわれる可能性が高いと見ている。

台湾国防部のシンクタンク「国防安全研究院」の鍾志東博士は外交的孤立を回避する戦略、地政学的な利害、さらに中共がロシア・ウクライナ戦争の最大の受益者であるという観点から見ても、中共がロシアを支援するのは極めて自然な選択だとしており、そして中共がロシアへの支援をさらに強化すれば、当然、中共とヨーロッパ、NATOとの関係は完全に崩壊することになり、その決裂は、ヨーロッパ全体の対中姿勢を一層強硬なものへと加速させるだろうと述べている。

一部の専門家は、米ロおよび米中関係の悪化によって、欧米関係が改善され、連携して中共の抑止に動くと見ている。

米国在住の時事評論家・藍述氏は、戦況がここまで進行した今、北京にとってロシアという同盟国を失うわけにはいかず、仮にロシアを失えば、イランも不安定化するとの見方を示した。そしてこの状況下で、北京は世界における主要な同盟国のほとんどを喪失するリスクに直面することになると述べた。

また鍾志東博士はトランプ氏とロシアの関係が悪化すれば、米国とEUとの関係は改善するとの見解も示している。

「同時に、トランプ氏がロシア・ウクライナ戦争を理由に中共に対して二次制裁を実施することで、米中関係の悪化も進むことになる。その結果として、米国とEUの主要国が参加するNATOがインド太平洋地域に関与を深め、この地域で中共に対する抑止力をさらに強化していくだろう」

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