中国 口コミ4.9の「高評価・優良店」の実態に消費者騒然

劇薬で漂白された「食材」 中国の高評価デリバリー店の裏側【動画あり】

2025/07/23 更新: 2025/07/23

「中国製は、薬にだけ薬が入っていない。他のものにはすべて“薬(毒)”が入っている」──。

食品スキャンダルが報じられるたびに飛び出すこの皮肉は、もはや笑い話では済まされない。繰り返される現実が、あまりにも深刻で、あまりにも日常的すぎるのだ。

中国・南京市の有名フードデリバリー店「兄弟龍蝦仙鶴門店」で、トイレや排水管洗浄に使われる工業用薬品シュウ酸を用いてザリガニを洗浄していた実態が暴かれ、信頼していた消費者らを落胆させるとともに、業界全体に衝撃を与えている。

この店はフードデリバリー・プラットフォームで月1千件以上の注文があり、レビュー評価も4.9点の「優良店」として知られていた。しかし記者の潜入調査と監視映像により、法律で食品への使用が禁止されているシュウ酸を使い、毎日50キロ超のザリガニを洗っていたことが明らかになった。

シュウ酸は強力な腐食性を持ち、もともとは下水管やトイレの掃除用に使われる薬品だ。それを使えば見た目は白く整うが、体内に入れば口腔や胃腸をただれさせ、腎臓結石、けいれん、心拍異常などの健康被害を引き起こす。そんな劇物で処理された食材が、日々の食卓へと送り出されていたのである。

中国メディアの報道によれば、記者が数日間にわたり現場を観察したところ、問題の洗浄液は一度も交換されず、酸臭を放つ水が繰り返し使われていたという。調査映像では、店員が「シュウ酸AR分析純」と書かれた粉末を投入する場面も確認できる。

この件を受け、南京市の市場監管当局が立ち入り調査を実施。シュウ酸の空容器と不衛生な環境を確認し、50キロ超のザリガニを廃棄、店舗には営業停止とデリバリーサイトでの販売停止処分が下された。

 

(劇薬で漂白された「食材」)

 

もはや他人事ではない 崩壊する「食の信頼」

事件発覚後、SNS上には「こんなもの食わせるなんて殺人未遂だ」「外食もデリバリーも信用できない」「農村に帰って自給自足するしかない」といった声があふれた。一部の料理人は、「白くてきれいなレンコンもシュウ酸で漂白している」「大型店舗ではシュウ酸で食材を洗うのは常態」と証言。今回の件は氷山の一角に過ぎないという見方も出ている。

中国ではこれまでも毒ミルク、毒冷凍肉、石油タンクローリーによる食用油運搬など、数々の「毒」事件が報じられてきた。そのたび世論は沸騰するが、時間が経てば沈静化し、責任の所在は曖昧なまま風化していく。

結局、利益最優先の商慣習と行政の監督不在という構造は温存され、根本的な問題は何も変わっていない。

 

中国のネット発の食品安全運動。食の安全を訴える市民(スクリーンショット/合成)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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