博士後期課程学生の生活費支援 日本人限定へ 研究費は据え置きに

2025/08/01 更新: 2025/08/01

文部科学省の人材委員会は30日、今後の科学技術人材政策の方向性を了承した。この中で、大学院博士後期課程の学生を対象とする「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」のうち、年間最大240万円の生活費支給を日本人学生に限定する方針が打ち出された。研究費の支給については、引き続き外国人留学生にも行う。制度変更は2027年度にも実施される予定だ。毎日新聞などが報じた。

SPRINGは、博士後期課程に進学する優れた学生が経済的な負担なく研究に専念できるよう、生活費や研究費の給付型支援を行ってきた。近年、対象者のおよそ4割が外国人留学生であり、その多くを中国人が占めていた。国会質疑などでは、「税金による支援を日本人に限るべきではないか」「国民の理解が得られにくい」などの声が挙がり、議論が重ねられてきた。

今回の見直しの背景には、日本人の博士課程進学率の低下や、経済的不安による進学の敬遠が続いているという現状がある。日本政府は、将来を担う若手研究者の人材層強化を政策の柱と位置付け、日本人学生への重点的な支援が不可欠と判断した。

文部科学省は「本来、博士課程への進学を後押しする日本人向けの政策が出発点だった」と説明している。一方で、優秀な留学生が日本の研究力強化に貢献しているとの観点から、研究費などによる支援は継続される。

しかし、この方針には一部反発の声もある。2025年7月30日には、制度変更に抗議する留学生や支援する日本人学生らが約1万9千人の署名を人材委員会に提出。名古屋大学の博士課程留学生は「経済的理由で日本留学を諦める人が増えかねない」と懸念を示している。

一方で、ネット上では「将来的に日本のために働いてくれるわけでもないのに税金を投入するのは不適切」「日本人の研究者や教育にもっとお金を出すべき」といった主張もでている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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