自民党 総裁選前倒しを検討 両院議員総会で石破首相の早期退陣要求相次ぐ

2025/08/09 更新: 2025/08/09

自民党は8日、先月の参院選での大敗を受け、党本部で両院議員総会を開いた。総会では、出席した多くの議員から石破茂首相(党総裁)の早期退陣や総裁選の前倒しを求める声が相次いだ。党執行部はこの議論を受け、総裁選挙管理委員会に前倒し実施の検討を要請。今後、所属の国会議員と都道府県代表の過半数の同意があれば、総裁選が前倒しで行われる可能性がある。具体的な判断は8月末以降になる見通しだ。

同日の総会は、参院選での責任問題と今後の党運営について議論するために開かれた。石破首相は会議の冒頭で「引き続き日本国に責任を持つ」と述べ、続投への意欲を重ねて表明した。

総会には253人が出席し35人が発言した。参加議員の多くは「新たなリーダーが必要だ」として臨時の総裁選の実施を求める声や、「信頼回復のためには、国会議員だけでなく党員・党友も参加する『フルスペック』の総裁選挙が不可欠だ」とする意見が相次いだ。

また、会議では米国との関税合意や農業政策、企業・団体献金の問題を巡っても批判や不満の声が挙がった。特に石破首相が野党に寄り添うような対応を見せたことで、党内の結束が揺らいでいるとの指摘も強まった。

総会は予定通り約2時間で終了した。総会後、石破首相は記者団に対し「多くの意見をいただいた。党則に沿って適切に対応したい」と述べ、総裁選前倒しの判断は党の規則に則る考えを示した。

この両院議員総会は、党則上党大会に次ぐ意思決定機関とされており、重要な政策転換や党運営の方向性を定める場として位置づけられている。今回、先月末の両院議員懇談会での要請を受けて開催され、幅広い関係者が集まった形であった。

臨時の総裁選

臨時の総裁選は、党所属の国会議員と47都道府県連の各代表(通常3人ずつ)による投票のみで実施され、党員・党友の投票は行われない。迅速な意思決定が可能である点がメリットとされるが、党員・党友の意見が反映されず、党内ガバナンスの正統性や透明性に関して批判が出やすい点がデメリットとされる。

自民党の党則によれば、国会議員と都道府県連代表の過半数が要求すれば総裁選は任期満了を待たずに臨時で実施できる。こうした臨時の総裁選が実施されれば、党としては初めてのケースとなる。党内では賛否両論があり、実際に総裁選前倒しが実現するかどうかは現時点で不透明だ。今後の党の意思決定と議員への意向調査の進展が注目される状況である。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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