中国 不信とモラル低下が加速する中国社会

最高評価のホテルの飲料水がまさかの「毒水」だった=中国

2025/09/24 更新: 2025/09/24

中国・青海のホテルで、客室に置かれたペットボトル水の中身が化学薬品だったことが発覚した。飲んだ女性は喉に激しい痛みを訴え、病院で「喉や食道に火傷のような損傷」と診断された。安心して飲めるはずの水が命取りになりかねない出来事に、不信が一気に広がっている。

事件が起きたのは9月10日夜。女性が宿泊していたのは、予約サイトで「評価5.0(満点)」とされる最高評価のホテルだった。

客室の化粧台に置かれていたのは、有名ブランドのミネラルウォーターに「ホテル専用」と印字されたラベルが貼られたボトルだった。外見上は何の問題もなく、一見したところ、ごく普通の飲料水にしか見えなかった。ところが一口飲んだ直後、女性は焼けつくような痛みに襲われ、慌てて吐き出した。

その後スマートフォンのライトを当てると、液体は淡い青色を帯び、振ると泡立ち、さらに鼻を突くような刺激臭が漂ったという。ホテル側は「警察が調査中で、ホテルに薬品は置いていない」と責任を否定している。

 

被害女性の投稿(左)と問題となった毒水(右)(スクリーンショット)

 

こうした「毒水騒動」は今回が初めてではない。7月には西安のチェーンホテルで、母親が子供に飲ませようとした水が「異常に塩辛い」と判明して通報され、5月には湖北省のホテルで宿泊客がボトルを開けたところ粘性のある不明な液体が出てきた。いずれの件も調査結果は明らかにされず、過去にも同様の事件が繰り返し報じられてきた。

中国のSNSでは「ホテルの水は絶対に飲まない」という警戒心が急速に広がっている。度重なる事件を背景に、多くの利用者は備え付けの水を避け、自分で買った水だけを飲むのが「新常識」となりつつある。

モラル低下で公共の場に置かれたものすら信用できない現実がそこにある。信じられるのは、もはや自分の手で買った水だけだ。もっとも、買った水でさえ中国の食の安全問題を考えれば、安心とは言い難いのだが。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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