米政府の閉鎖危機 ドルと株価がそろって下落

2025/10/01 更新: 2025/10/01

9月30日、世界の金融市場では警戒感が強まり、ドルとアメリカ株がそろって下落、金価格は一時過去最高を更新した。投資家の間では、

アメリカ政府が閉鎖となった場合、重要な雇用統計の発表が遅れ、市場の変動性が高まるとの懸念が広がっている。さらに原油価格の下落や業界再編の影響で、複数の世界的エネルギー大手が2025年にかけて追加人員削減を計画している。

米東部時間午前11時54分時点で、ダウ平均は0.26%安、S&P500は0.11%安、ナスダック総合は0.16%安。テスラは1.8%、アマゾンは1.5%下落し、ナスダック総合を押し下げた。ダウはアメリカン・エキスプレス(2.9%安)、ゴールドマン・サックス(1.7%安)、JPモルガン(1.1%安)が重しとなった。S&P500の消費財セクターも1.2%下落した。

もっとも、米主要株価指数は9月全体で上昇を維持。S&P500は月間で2%上昇し、過去5年の9月平均4.2%下落と比べ堅調だった。ダウ平均は1%上昇、ナスダック総合は5%上昇と最も好調だった。

ヨーロッパ株先物は軟調で、ユーロ・ストックス50先物が0.07%安、ドイツDAX先物は0.06%安、イギリスFTSE先物は0.08%安となった。

ワシントンでは、共和党と民主党が政府資金の延長をめぐり合意できず、政府機関閉鎖の危機が迫っている。アナリストは、もし10月1日午前0時に閉鎖が発生し、2週間以上続けば経済により大きな圧力がかかり、FRBがより緩和的な政策に動く可能性があると指摘している。

この影響でドルは売られ、ドル指数は0.2%下げて97.756。ユーロは0.1%高の1.1742ドルとなった。金は0.3%上昇し、1オンス=3845.33ドルと史上最高水準に近づいた。

通常、アメリカ政府閉鎖の市場への影響は限定的だが、今回は労働市場の減速、スタグフレーション(景気停滞と物価上昇)リスク、高株価への警戒感が重なり、さらに信用格付けの影響が懸念されている。

アメリカ労働省は、もし政府閉鎖が発生すれば、10月3日に予定されていた9月の雇用統計(非農業部門雇用者数)が予定通り公表できなくなると発表。この統計はFRBが10月の政策決定会合で経済動向を判断する上で重要なデータの一つだ。

また、原油価格の低迷や業界再編の加速を背景に、世界のエネルギー大手は2025年に追加の人員削減を計画。エクソン・モービルは長期的な再編計画の一環として、全世界で2千人を削減する計画だ。

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