中国には、共産党員のみが入学できる特別な学校「党校(とうこう)」がある。一般の大学とは異なり、この学校は政治家や官僚、軍の幹部を養成するための「共産党の学校」だ。授業では法律や経済よりも、党への忠誠心や習近平思想の習得が重視される。
最近、この「党校」をめぐり、中国国内で批判の声が高まっている。
9月28日、北京で全国党校会議が開かれ、幹部の陳希(ちん・き)は「党校は党のものである(党校姓党)」と強調した。すなわち「党校に通う者は、まず党に忠誠を尽くすべきだ」という意味である。
SNS上では「党校は腐敗官僚の養成所」「マフィアの本部」といった皮肉が飛び交い、北京市民の間でも「遠くから見れば寺院、近づけば党校、中に入れば腐敗官僚の集まり」と冗談交じりに語られている。

税金でぜいたく三昧の「研修」
評論家の向陽(こう・よう)氏によると、党校は全国に6000校以上あり、すべて国民の税金で運営されている。学生は官僚や地方の指導者たちで、授業中も高い給料を受け取り、立派な宿舎で生活する。
「研修」という名目だが、実態は税金で行う「ぜいたく旅行」に近いという。
実際、近年汚職で逮捕された高官の多くがこの党校の出身だ。
SNSでは「1億元(約20億円)超の元高官116人を並べた『汚職官僚リスト』」が話題になっており、ネット上では「これぞ党校のエリート卒業生名簿」と冷ややかな声が出ている。
党校の題字を書いたのは、かつて「腐敗の総監督」と呼ばれた元党首・江沢民(こう・たくみん)。皮肉なことに、その部下たちが今も相次ぎ汚職で逮捕されている。
「忠誠を学ぶ学校」が、いつの間にか「どうやって汚職するかを学ぶ学校」になっている。そんな実態が、いま中国国民の怒りを呼んでいる。


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