政府 ビザ申請費用の引き上げを検討 観光客急増で行政コスト増に対応

2025/10/17 更新: 2025/10/17

10月16日、政府がビザ申請にかかる費用を欧米諸国と同等の水準に引き上げる方針であると、日経新聞が報じた。訪日外国人の急増によって行政コストが増大していることへの対応と見られる。

G7およびOECD(経済協力開発機構)加盟国のビザ料金を参考にし、具体的な引き上げ幅は後日公表される予定である。

新料金は、観光、ビジネス、長期滞在ビザに適用される見通しで、外務省がパブリックコメントを実施した後、早ければ次の会計年度から施行する。

現在、日本のシングルエントリービザ(1回限りの入国)は約3千円、マルチエントリービザ(複数回入国)は約6千円である。

一方、アメリカの短期滞在ビザは185ドル(約2万8千円)、イギリスは177ドル(約2万7千円)、カナダは100カナダドル(約1万千円)である。フランス、ドイツ、イタリアなどのシェンゲン協定加盟国(ヨーロッパ内で国境検査なしに自由に移動できる)では、短期ビザの料金は一律90ユーロ(約1万4千円)となっている。

これらの国々では、インフレや為替の変動に対応し、また外国人観光客の流入を抑制する目的で、過去に何度もビザ料金の引き上げが行われてきた。対照的に、日本は1978年以降、一度もビザ料金は引き上げられていない。

2025年上半期における訪日外国人観光客数は2150万人で、前年同期(1780万人)から大幅に増加した。上半期として初めて2千万人を超え、今後もさらなる増加が見込まれている。

政府は、ビザ料金の引き上げが訪日観光客数に大きな影響を与えることはないと見ており、同時に「オーバーツーリズム」の緩和にもつながると期待している。

現在、日本は中国、ベトナム、フィリピンなど120以上の国と地域からの短期滞在者に対してビザ取得を義務付けている。2024年には、中国国民に対して発給されたビザが524万件に達し、同年に発給された全ビザの70%を占めた。

フィリピンは57万件で2位、ベトナムは32万件で3位となっており、この3か国だけで日本が発給した全ビザの約9割を占めている。

なお、アメリカ、韓国、オーストラリアなど74の国・地域には、一定の条件下で短期ビザの免除が適用されている。

林燕
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