中国は、人気のソーシャルメディアアプリ「TikTok」に関する米国との譲渡合意を承認したと、米国のスコット・ベッセント財務長官が10月30日に発表した。
ベッセント氏によると、中国の習近平は韓国での米中首脳会談の冒頭で、同週初めにマレーシアでベッセント長官と中国当局者の間でまとめられた合意を受け入れるとトランプ米大統領に伝えたという。
ベッセント長官はフォックス・ビジネスに対し、「クアラルンプールで、中国側の承認を得る形でTikTokの合意を最終決定した」と述べ、「今後数週間から数か月のうちに正式に進展し、この問題に最終的な決着がつくことになるだろう」と語った。
ベッセント長官は合意の詳細を明らかにしなかったが、TikTokがアメリカの投資家が大部分を所有する新会社として米国内に分離・再編される内容が含まれるとみられている。同アプリは現在、中国のバイトダンス(ByteDance)社が所有している。
この譲渡によって、米国は数千万人のアメリカ人ユーザーのデータを保護し、コンテンツが中国共産党に操作されないようにすることが可能になる。
トランプ大統領は、この合意を認める大統領令に署名した後、「TikTokは完全にアメリカの運営になる」と述べた。
トランプ氏は就任以来、TikTokの米国内での停止を何度も延期してきたが、これはアプリの運営に関する合意に達することを期待しての措置だった。
国家安全保障上の懸念から、バイデン政権下で昨年成立した法律では、バイトダンスに対しTikTokの売却を求め、従わない場合はアプリを米国内で禁止すると定めていた。
しかし、中国の法律では、バイトダンスがTikTokのアルゴリズムを売却することが認められていなかった。また、米当局は、中国共産党が中国企業を通じて米国人ユーザーの機微なデータにアクセスし、世論に影響を及ぼすおそれがあると指摘していた。
今回のトランプ大統領の大統領令は、TikTok禁止を回避するための枠組みを提示し、中国との合意形成を可能にするものとなっている。この枠組みでは、中国がバイトダンスからTikTokアプリを分離(デベストメント)することを承認し、TikTokの米国事業を米国内の新たな合弁企業が運営することが求められている。
新会社は米国の投資家が過半を所有し、国家安全保障およびサイバーセキュリティの資格を持つ取締役会が運営を担う。さらに、アメリカ人ユーザーのデータ保護に関する厳格な規制が適用される。
また、大統領令によると、バイトダンス社の持ち株比率は20%未満に抑えられるという。米国の大手テクノロジー企業オラクル(Oracle)がTikTokのセキュリティ提供者となり、米国内での運営安全性を独立して監視・保証する役割を担う。
合意では、TikTokのアルゴリズム、ソースコード、コンテンツ監査に関する決定権がすべて新しい合弁会社の管理下に置かれる。
トランプ政権によると、TikTokの利用者は米国で約1億7千万人に達しており、多くのクリエイターがこのアプリを収入源として依存している。
企業や政治家もまた、数百万人のユーザーに日々情報を発信するために活用している。
TikTokの事業を維持することによって、今後4年間で米国経済に1,780億ドルの経済効果を生み出し、数千の雇用と事業を支えると、トランプ政権は見込んでいる。
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