中国駐日本大使館が11月21日から22日にかけ、X(旧Twitter)で日本を名指しで批判する投稿を相次いで発信した。台湾政策を巡る日本の政治家への撤回要求から、尖閣諸島の領有主張、国連憲章の「敵国条項」の持ち出しにまで及び、いずれも国際社会の一般的な認識とは距離のある内容となっている。
22日の投稿では、中国商務部報道官が日本の高市早苗衆院議員を名指しし、台湾に関する「誤った発言」を行ったと批判した。

投稿では、発言の撤回要求とともに、経済協力への影響にも踏み込んだ。
外国政府が相手国の政治家の発言を名指しで批判し、撤回を求める行為は、一般に内政干渉との見方が強い。また、政治的対立を経済協力と結び付ける姿勢は、経済を外交圧力として用いる手法とみられやすく、国際的には慎重さが求められる分野である。
また大使館は21日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)についても強い表現で投稿した。
日本が実効支配する尖閣周辺では、中国海警船が連日のように接続水域や領海に侵入し、日本側が抗議を続けている。アメリカも尖閣について日米安全保障条約第5条の適用対象であると明言しており、中国側の主張は国際社会の理解とは大きく異なる。
同日、中国側は国連憲章の「敵国条項」(第53条・第107条)にも触れ、次のように投稿した。
敵国条項は第二次大戦直後の国際情勢を反映した規定で、現在は「死文化している」との認識が国連加盟国の間で広く共有されている。1995年の国連総会では削除の必要性を確認する決議も採択されており、現代の国連体制で実際に適用されることはないとされる。
こうした条文を現実の外交文脈で持ち出すこと自体、国際政治の現状と整合しないとの見方が強い。
背景に強硬姿勢か 国際社会とのずれ鮮明に
今回の一連の投稿は、いずれも日本への強い姿勢を打ち出す内容となった。一方で、相手国政治家への撤回要求や、実効支配を無視した領土主張、事実上機能していない国連条項の引用など、現代の国際秩序の運用とは乖離した表現が目立つ。
日本政府は個々の投稿に直接反応していないが、建設的な対話の環境づくりとはかけ離れた発信との懸念も広がる。中国側の発信は、日中関係の摩擦要因となる可能性も指摘されている。
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