中共が日本の利上げを恐れる本当の理由 デフレと不動産バブルの行方

2025/12/27 更新: 2025/12/27

日銀が利上げに踏み切る一方、中国共産党(中共)系メディアは「日本の利上げで金融崩壊」「ウォール街は血の海」と過激な見出しで恐怖を煽っている。台湾の経済メディア「財訊」を率いる謝金河氏は、日銀の利上げは日本経済正常化の過程にあり妥当だと指摘し、真に危ういのは金利低下と不動産バブル調整が進む中国だと分析する。

謝金河氏はフェイスブックへの投稿で、「長らく公の場に姿を見せていなかった経済学者・郎咸平氏が『日銀の利上げによって金融危機がまもなく始まる』と予告した」と明かした。その後、インターネット上ではパニック的な発言が次々と見られるようになったという。

「中共はなぜこれほどまでに日本の利上げを気にするのか」謝氏は指摘する。12月以降、中共はネットのライブ配信プラットフォームを通じて「日本が利上げ、ウォール街は血の海に!」「円の利上げで世界崩壊!」などとする過激な発言を繰り返し、「日本が利上げ、3種類の資産を売り払え」といった煽りまで行っているという。

謝氏は「まるで世界の終わりを訴えるような恐怖キャンペーンだが、主張の内容は非常に統一されており、皆が同じ論調を繰り返している」と述べ、「台湾の一部経済専門家までもがそれに同調している」と続けた。

謝金河氏が見る「日本経済正常化」と日銀利上げの妥当性

日本銀行は18日、ようやく0.25%(1段階)の利上げを実施し、政策金利は0.75%となった。だが、利上げにもかかわらず、世界の株式市場は下落どころか全面的に上昇し、円も大きく値を上げる動きを見せていない。

謝氏はさらに、「中共が一連の対日制裁措置を打ち出した後、今度は言論戦(プロパガンダ攻撃)という別の手段を用いている」と分析する。威嚇行為が効果を発揮しないと判断したのか、中国のネット配信では最近、「日本が利上げ、中国が飛躍!」「日本の利上げで中国が大爆発!」などと、まったく逆の論調を唱える者たちも現れ始めているという。また、円が上昇せずにむしろ下落していることを材料に、さまざまな言説が展開されていると指摘した。

「実は、昨年、日本がゼロ金利を終えたときのほうが、資金の流れにおける衝撃ははるかに大きかった」と謝氏は語る。「今では日本人も日本企業も、内部にあったバブルをきれいに清算した。企業や個人の財務状況は健全であり、日本経済は正常化に向かっている。これは妥当な利上げである」

日銀は、利上げが市場に過度な衝撃を与えることを懸念して事前に方針を示していたが、市場は今回の利上げを「悪材料出尽くし」と受け止め、株式市場はむしろ大幅に上昇した。

日本の金利・国債利回りと中国の低金利構造が示すもの

謝氏はさらに、「日本銀行の金利は今後1.5%に向かって進むだろう。少なくともあと0.75%分(3段階分)の上昇余地がある」と展望を述べた。現在、日本の10年国債利回りは2.072%で、中国は1.84%。日本の30年債利回りは3.436%で、アメリカ30年債との差はわずか1.4%しかない。逆に、中国の30年債利回りは2.23%にとどまり、中国の金利は低下基調が続いている。この点は、1990年以降の日本が経験したバランスシート調整局面とよく似ているという。

「日本は今、デフレというバトンを中国に渡しているのだ」と謝氏は語る。「中国の不動産バブルの調整はこれからが本番であり、多くの人が家を売ってもなお借金を返し切れない。今回の日本の利上げに対して、中共は全神経を集中させて注目しているが、実際には多くの人々が自ら直面する未来を心配しているのである」

鍾元
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