ベッセント米財務長官は1月12日、ワシントンで多国の財務相会合を主宰し、重要鉱物のサプライチェーンを安全かつ多様化する方策について協議した。会合は、中国共産党(中共)がレアアース供給網で主導的地位を占めている現状への対抗を目的としている。
会合には、オーストラリア、カナダ、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、韓国、イギリスなど主要同盟国が参加し、これらの国々の重要鉱物需要は世界全体の約60%を占める。
ベッセント長官は、現在のサプライチェーンは特定地域への集中度が高く、市場操作や供給途絶の影響を受けやすいと指摘した。そのうえで、「デリスキング(リスク低減)をデカップリングに優先させる」各国の姿勢に期待を示し、サプライチェーンの弱点を補う必要性について各国が十分に理解しているとの認識を示した。さらに、同盟国に対し強靱化を呼びかけ、長期的な解決策に向けた協力に謝意を表明した。
背景には、重要鉱物の供給をめぐる世界的な懸念の高まりがある。国際エネルギー機関(IEA)の「2025年世界エネルギー見通し」によると、中国は精製レアアース(磁石向け)の約90%、永久磁石の約94%を供給している。
中共は重要鉱物を地政学的圧力の手段として用いる例も多く、最近では軍事用途にも使用可能な一部鉱物について、日本向け輸出を制限した。
米政府は自国の供給能力強化に向け、具体的な戦略投資も進めている。12日には、アトランティック・アルーミナが、レーダーやミサイル追尾システムに不可欠なガリウムの供給確保を目的に、国防総省が同社に1億5千万ドルを出資したと発表した。
こうした動きは、トランプ政権の「ワン・ビッグ・ビューティフル法案(One Big Beautiful Bill Act)」の後押しを受けており、同法は重要鉱物分野に75億ドルを計上。このうち20億ドルは国防戦略備蓄の拡充に充てられる。
同盟国も同様の動きを強めている。オーストラリア政府は同日、重要鉱物の戦略備蓄を構築するため、12億豪ドル(約1250億円)を投じると発表。まずはアンチモン、ガリウム、レアアースの安定供給を図る。
アンチモンは弾丸の強化材、ミサイル誘導装置、暗視装置などに利用され、ガリウムも先進レーダーなどの軍事装備に不可欠だ。両鉱物は再生可能エネルギーや民生用電子機器にも重要で、レアアースは高性能永久磁石の製造に欠かせない。
オーストラリアのチャーマーズ財務相は「これら重要資源の信頼できる備蓄を確保することは、サプライチェーンの強化につながり、重要鉱物市場の安定にも寄与する」と述べた。
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