中国 スマホ融資に潜む返済不能の罠

中国で広がるネット借金地獄

2026/01/30 更新: 2026/01/30

中国でいま静かに広がっているのは、スマートフォンを使ったネット融資による借金トラブルという社会問題である。

見た目は便利で合法な金融サービスのようだが、利用者が気づかぬうちに返済不能の状態に追い込まれるケースが相次いでいる。

四川省成都では、20代後半の女性が生活資金を補うためにネット融資を利用したが、借金はわずか一年余りで膨らみ、最終的に約950万元(約2億円)相当の自宅を担保に差し出す事態となった。受け取った資金の大半は既存の借金返済や手数料に充てられ、本人の手元に残った現金はほとんどなかったという。

こうした仕組みは中国で「套路貸(タオルーダイ)」と呼ばれ、利用者を追い詰める構造があらかじめ組み込まれているのが特徴である。

実際、中国の大手通販アプリで融資を試みた大学教授は、最終確認をしていないのに自動的に貸し付けが実行され、利息の計算が始まっていたと証言している。早期返済を申し出ると高額な手数料を請求され、実質的な年利は1千%を超えていたという。

中国では近年、スマートフォン一つで数分以内にお金を借りられる環境が急速に整えられた。背景には、景気低迷により消費が落ち込むなか、政府が借金を通じてでも消費を促そうとしてきた政策がある。

問題は、こうした融資広告が若者向けの動画サイトや短編動画アプリにも大量に表示されている点である。「少額だから安心」「すぐ借りられる」「誰にも頼らなくていい」といった言葉が強調され、返済の厳しさやリスクについてはほとんど触れていない。

中国では、年利36%を超える貸し付けは違法と定められている。しかし実際には、会費や手数料を別枠で上乗せすることで表面上の金利を低く見せ、規制をすり抜ける例が後を絶たない。

借り手の多くは、失業者や商売に失敗した人、生活費に困窮した人たちである。返済できなくなると、別の融資で穴埋めし、これを繰り返す悪循環に陥り、抜け出せなくなる。

一見すると合法で手軽な仕組みに見えるが、その実態は返済能力の限界まで人を追い込む構造である。中国で広がるネット融資は、景気対策の名の下に生まれた「新しい借金地獄」と言える。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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