張又俠拘束で軍内動揺 高層軍令の伝達ルートが麻痺

2026/01/29 更新: 2026/01/29

張又俠の失脚後、張と習近平との間で水面下で続いていた対立の内幕が、相次いで明らかになっている。事情に詳しい関係者によると、張又俠は三年前から、習近平との間で表と裏の主導権争いを続けてきた。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの記者、陳敏莉氏はこの問題を追っていた最中に消息を絶ち、現在も行方は分かっていない。

また、中国共産党(中共)軍に近い複数の関係者は、習近平が張又俠を拘束したことで軍内部に動揺が広がり、中央軍事委員会が部隊に下した複数の指示が、現場部隊レベルで広く拒否されていると明かしている。

大紀元が中共軍関係筋から得た最新情報によると、張又俠と劉振立が調査されることについて、軍内部では職業軍人層を中心とする既存の権力構造に対する集中的な粛清と受け止められており、複数の戦区で将兵の強い不満を招いているという。

さらに、中共の軍隊・政治両系統に詳しい関係者によれば、両者の失脚が公式に発表された当日、中共中央軍事委員会弁公庁は、各級部隊に対し少なくとも2本の文書を発出し、党中央および中央軍事委員会と歩調を合わせ、関連学習や態度表明に協力するよう求めた。しかし、多くの軍区では指示に応じる動きはほとんど見られず、上層部の命令伝達ルートが事実上機能不全に陥ったとみている。

アメリカ在住の民主活動家である唐柏橋氏は、「私が把握している限り、軍内部では公然と不満を示す者が少なくない。現在軍内部では不満が広がっており、いつ反発が起きてもおかしくない」と述べている。

張又俠は軍内ナンバー2の人物で、長らく習近平にとって最も信頼の厚い側近とみなされてきた。その失脚は、いわゆる「紅二代」が軍内で築いてきた影響力に大きな打撃を与えただけでなく、習近平が従来の軍内部派閥と決別したことを意味するとの見方が広がっている。

唐柏橋氏は、「張又俠が中央軍事委員会副主席に就任して以降、両者の間では対立が始まり、約3年にわたり非公式ながら激しい主導権争いが続いてきた。過去3年間、張又俠がクーデターを企てていたという見方もあったが、実際にはクーデターではなく、表面化した争いだった」と指摘する。

さらに唐氏は、両者の関係は粛清や引き締めではなく、明確な対立であり、とりわけ台湾問題を巡って見解が大きく異なっていたと明かす。

同氏は、「台湾問題を巡っては、これまで多くの外部の専門家が、張又俠は強硬派で台湾侵攻を主張しており、一方で習近平は消極的だと分析してきた。しかし、こうした見方は事実とは180度異なる誤解だ。中共側が意図的にこのような情報を流した可能性もある。つまり、世論の面で張又俠を不利な立場に追い込むためだ。実際にはその逆で、台湾侵攻を断固として阻止しようとしていたのは、むしろ張又俠だった」と語っている。

また、元米国防総省高官ドリュー・トンプソン氏は26日に発表した文章の中で、2023年10月にサウスチャイナ・モーニング・ポストの中国担当ベテラン記者、陳敏莉氏が北京で開催した香山フォーラム取材中に突然連絡が取れなくなった。当時、陳氏は張又俠らが調査を受けているとの情報を追っていたという。

時事評論家の江峰氏は、「今回の張又俠の失脚は、決して直近に新たな汚職証拠が見つかったからではない。突発的な判断でもない。習近平が3年をかけて周到に仕組んだ排除の構図の結果だ」と分析する。

専門家の間では、習近平が中共内部の慣行や暗黙のルールをほぼすべて打ち破り、もはや安全圏にある人物は存在しないとの見方が強まっている。現在、軍全体に広がる異様な沈黙は、権力構造の歪みや空白を映し出すと同時に、体制内部で、より深刻な危機が進行していることを示すものと受け止められている。習近平体制が壊滅的な危機に直面し、中共の独裁体制が終焉を迎えている可能性も否定できないとする声も出ている。