ファウチ氏の部下 COVID-19ワクチン接種拒否で報復恐れる 内部メールで判明

2026/04/15 更新: 2026/04/15

新たに公開されたメールによると、2021年に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの接種を拒否した政府高官の医師が、報復として職と医師免許を失うのではないかと危惧していた。

パンデミック中、国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の感染症研究室臨床研究部門を率いていたマシュー・メモリ博士は、同研究所の広報担当者に宛てた書簡の中で、「特に(ワクチン)義務化の期限に関するメールを受け取り始めた当初は、仕事を失うのではないかと心配した時期があった」と述べている。

彼は後に、「政府職員には保護制度がある」と認識していたため、むしろ医師免許を失うことの方を懸念していたと語った。

2024年1月17日付のメールで、メモリ氏は「ワシントンD.C.(当局)から医師免許を剥奪すると直接脅され、それが私の職を脅かすことになった(職務には医師免許が必要なため)。そのため、バージニア州の免許を申請して自分を守った」と記している。このメールは、情報公開法(FOIA)に基づきエポックタイムズが取得したものだ。

2025年にトランプ大統領が就任した後、メモリ氏はNIAIDの親機関である国立衛生研究所(NIH)の所長代行に任命された。2025年3月31日からは、NIHの首席副所長を務めている。

メモリ氏はコメントの要請に応じなかった。

義務化に反対を表明

メモリ氏が公に知られるようになったのは2021年のことだ。当時、何百万人もの人々に課され、政府最高層で推進されていた新型コロナワクチンの接種義務化に対し、政府関係者として数少ない反対の声を上げた一人だった。

2024年にエポックタイムズが入手したメールでは、メモリ氏がアンソニー・ファウチ博士に対し、ワクチン義務化は間違いであると警告していたことが示されている。ファウチ氏はホワイトハウスのCOVID-19顧問であり、退官まで長年NIAIDのトップを務め、義務化の推進者でもあった。メモリ氏は、ワクチンが感染を防がないことを理由の一つに挙げていた。

メモリ氏はファウチ氏に対し、「強制的な集団接種は、せいぜい無益に終わるだけだ」とメールで批判した。彼によれば、ワクチンを打たなくても変異株は出現するため、義務化には意味がないという。「最悪の場合、自然界とは異なる、おそらく有害な形でウイルスの進化を促し、パンデミックを長期化させたり、本来よりも罹患率や死亡率を悪化させたりすることになる」。

アンソニー・ファウチ博士は、2024年6月3日、ワシントンで開催された新型コロナウイルス感染症パンデミックに関する特別小委員会で証言するために到着した(Madalina Vasiliu/The Epoch Times)

当時、メモリ氏はエポックタイムズのメール取材に応じることに同意していたが、当局がそのインタビューを阻止した。

メモリ氏がインタビューへの回答案を作成し、広報のペコック氏にチェックを依頼したところ、上位機関の保健福祉省(HHS)によって差し止められた。入手されたメールには「却下」の事実は記されていたが、詳細な理由は伏せられたままである。

「多くの懸念」

エポックタイムズは、義務化への反対を理由に解雇される恐れがあったのか、また、もっと早く反対を公にすべきだったと考えているか、などの質問を投じていた。

「2021年末よりずっと前のプレスインタビューで、私はワクチンについて多くの懸念を表明していた」と、メモリ氏はエポックタイムズに送られることのなかった回答の中で述べている。「私は常に正直だった。しかし、私が話した記者たちは、私が提供したそれらの情報を決して記事にしないようだった」

その状況が変わったのは2021年末だった。バイデン大統領やNIAID、NIHなどの連邦機関が連邦職員や契約業者にワクチン接種を義務付けた後、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などがメモリ氏の発言を報じた。

2021年11月29日、ワシントンのワクチン接種会場で人々が列を作って待っている(Jim Watson/AFP via Getty Images)

メモリ氏は記者へのコメントや内部メールで、呼吸器系ウイルスに関する自身の経験に基づき、こうしたウイルスは免疫を回避し、ワクチンがウイルスの進化を助長する可能性があるとして義務化に反対した。また、接種の強制は医療の自由を侵害するものだとも述べた。

「変異株の出現でワクチンは十分に機能しておらず、安全性への懸念も生じていた。私と家族は接種しないことを選択したため、医師免許の剥奪や失職といった脅しに直面していた」と、メモリ氏は2024年1月16日付のメールでペコック氏に綴っている。「全国各地と同じように、周囲には接種を強要されたと感じている友人たちがいた。そのため、建設的であろうとしてNIHの倫理局に連絡し、この問題を考慮するよう訴えたのだ」

イベントでの登壇

NIH倫理局の職員とメールをやり取りした後、メモリ氏は2021年12月に開催された「エシックス・グランド・ラウンズ」という機関内イベントでの講演に招待された。そのスピーチで彼は、義務化は稀な状況に限られるべきであり、時間の経過とともに有効性が低下する新型コロナワクチンについては課されるべきではないと主張した。

メモリ氏は、当時の周囲の反応を振り返りこう述べている。「あの極限状態の中で(反対意見を持つ自分が招かれたのは)意外だった。だが、私はNIHの倫理部門を以前から一貫して尊重しており、彼らの誠実さを信じていた」、「過去に何度も彼らと仕事をし、論文を共著したこともある。あの部署の人々は常に非常に知的で、偏見がなく、困難な問題を注意深く徹底的に検討することができる」

彼は、多くの同僚からプレゼンテーションへの感謝を伝えられ、同僚や上司から否定的な意見が出ることはなかったと語った。なお、同イベントでは別のNIAID幹部、ジュリー・レジャーウッド氏が義務化を支持する立場で登壇していた。

2024年5月30日、メリーランド州ベセスダにある国立衛生研究所(Madalina Vasiliu/The Epoch Times)

しかし、少なくとも一人のNIH職員が非公式にメモリ氏の立場を批判していた。NIAID学内研究部門のディレクターであるスティーブン・ホランド博士は、ペコック氏らに宛てたメールで、そのプレゼンテーションは「彼の理屈がいかに欠陥だらけで信頼性に欠けるかを十二分に明らかにした」と書いている。

ホランド氏はコメントの要請に応じなかった。NIHもメールでの質問に回答しなかった。

別の幹部、NIH感染症研究室長のジェフリー・コーエン博士からのメールには、数行の黒塗り部分が含まれていた。

コーエン氏は黒塗り部分に続けて、「したがって、なぜ彼が自分の職や臨床業務が危ういと考えるのか理解できない」と述べていた。

ペコック氏はコーエン氏らへのメールで、NIHの上層部は「NIHの誰もメモリ氏が解雇されるとは言っていない」ことを明確にしたがっていると伝えた。

「言い換えれば、彼は非常に異なる見解を持っていたために、職が危ういと感じていたかもしれないが、実際に職を失うと言ったり脅したりした者は誰もいないということだ」とペコック氏は記している。

メモリ氏はエポックタイムズへの回答案の一つで、「NIHの私の上司や、実際に共に働いた人々の中で、私を直接脅したり、仕事に影響を及ぼしたりした者は一人もいない」と書いた。

しかし、以前のメールのやり取りから、この回答はNIH幹部の要請で修正されたものであることが分かっている。

2021年3月16日、ワシントンD.C.のワシントン・ナショナル大聖堂で行われた一般向けワクチン接種イベントで、医療従事者が新型コロナウイルス感染症に関する資料を配布している(Alex Wong/Getty Images)

メモリ氏はペコック氏への別のメールで、自分が職を失うことを「心配しており」、どこへ行くべきか「何ヶ月も悩み続けていた」ことは明白にすべきだと述べた。

さらにこう付け加えた。「それが偽らざる真実だ。倫理グランド・ラウンズで登壇した時、これがNIHで話す最後になり、科学者としてのキャリアも終わるかもしれないと思っていた。今振り返れば少し大げさだったかもしれないが、当時はそう感じていたのだ」

「もっと主張すべきだった」

メモリ氏は、今にして思えば、義務化のような「機関が犯したと自分が感じる過ち」を回避できるよう、もっと積極的に主張すべきだったと語った。

未送付の回答の中で彼は、「自分の状況をそれほど心配せず、もっと早くリーダーたちにメールを送り、専門家としての意見を議論すべきだったと感じている」と付け加えた。

また同時に、メモリ氏はペコック氏に対し、NIHや保健福祉省のリーダー層への強い不満をぶつけた。自分たちが提出した(ワクチン接種の)免除申請が一度も承認されなかったことが、今も「しこり」として残っていることを知るべきだと伝えたのだ。 

2025年4月28日、ワシントンD.C.のヒューバート・H・ハンフリー・ビルディングにある米国保健福祉省(Madalina Vasiliu/The Epoch Times)

彼はメールの中で、「彼らは我々を一年間も失職の不安の中に放置し、結局、最後まで承認を出さなかった。これでは将来再び義務化が起きた際、また不安定な立場に置かれることになる」と記し、さらにこう続けた。「これは接種を強いるための意図的な嫌がらせだと感じている。極めて非倫理的であり、失望を禁じ得ない」

メモリ氏は同じ2024年1月17日のメールで、NIH所長や保健長官が謝罪し、新型コロナワクチンの義務化は間違いであったと発表することを望むと述べた。

NIHのジェイ・バタチャリヤ所長や他のトランプ政権高官は、義務化は課されるべきではなかったと述べている。

バタチャリヤ氏は指名承認公聴会で、「私自身もCOVIDワクチンを接種したが、多くの科学者が推進した義務化が、科学に対する大衆の信頼喪失を招いたと考えている」と語った。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。