中共が主張する「相互尊重」の本当の意味とは 「トランプ大統領は中共の偽りの要求を拒絶すべき」=マイルズ・ユー

2026/05/14 更新: 2026/05/14

米シンクタンク「ハドソン研究所」中国センター所長のマイルズ・ユー(余茂春)氏はトランプ・習近平会談の開催を前に、中国共産党(中共)政府が「相互尊重」が米中関係の基礎となるべきだと強調とする常套手段を再び持ち出していると指摘した。

ユー氏は、トランプ大統領はこの中共の偽りの要求を拒絶すべきだと述べた。この言葉は表面上は合理的に聞こえるが、深層では実際には中共による概念のすり替えだと強調した。

5月11日、中共外交部は「平和共存」をテーマとした二か国語の短編動画を公開し、その中で米中両国は相互尊重の姿勢を堅持し、平和共存の一線を守り、協力と共栄の展望を追求すべきだと主張した。

これに対し、マイルズ・ユー氏は『ワシントン・タイムズ』紙および中国語版Xプラットフォームに寄稿し、中共が言う「相互尊重」の実質を明らかにした。中共の言う「相互尊重」は実際には「相手に口を閉じさせ、黙認させ、さらには道義的に頭を下げさせることを求めるものだ」と氏は述べた。

「相互尊重」は概念のすり替え

マイルズ・ユー氏は、「中共が相手に『中国を尊重せよ』と求める際、実際には精巧に設計された概念のすり替えを行っており、それは多層的なものだ」と述べた。

第一に、米中関係が緊張している根本原因は米国が「中国を尊重しない」ことにあり、中共政府自身の行動や、米国に対して長年示してきた敵意にあるのではないかのように、意図的に思い込ませようとしている。こうした行動には、破壊的な貿易政策、大規模な知的財産の窃取、米国のインフラへのサイバー攻撃、そして米国にフェンタニル前駆体化学物質を流入させ多数の米国人を間接的に死亡させていることが含まれる。

そのほかにも、至るところに存在するスパイ活動、選挙干渉、偽情報宣伝工作、さらには米国内での嫌がらせ・脅迫・越境弾圧がある。また、世界で最も反米的な政権の一部を支援し続けており、こうした一切は米国の政治制度に対するイデオロギー的敵意の上に成り立ち、米国の世界的なリーダーシップを長期的に取って代わろうとする戦略の一環でもある。

第二に、中共は常に意図的に自らを「中国」および「中国人民」と同一視し、中共を批判することがあたかも中国に敵対することと同義であるかのように振る舞う。しかし問題は、中共は中国ではないということだ。

中共は中国ではない

寄稿は、「中共には真の政治的正統性も文化的な正統性もない。その本質は外来の押し付けられたイデオロギーと政治システム、つまり西洋発の急進的共産主義思想が中国社会に強制的に適用されたものだ。それは中国本来の文化的伝統と精神的基盤を消滅させようとするだけでなく、制度化された洗脳を通じてマルクス・レーニン主義、社会主義、いわゆるプロレタリア独裁を公式の信仰へと変えてきた」と述べた。

第三に、中共はしばしば自らを「米国の覇権主義の被害者」として仕立て上げ、中国近代史の「百年の国恥」という歴史的記憶を利用して、世界から同情と服従を引き出そうとする。しかし実際に中国に最大の屈辱と損害をもたらしたのは外国列強ではなく、ほかならぬ中共自身だとした。

寄稿はさらに、中共は相互尊重を口にしながら、周辺の国・地域に対しても尊重とは言えない行動を取っていると指摘した。台湾を脅し、韓国に経済的圧力をかけ、中印国境で衝突を引き起こし、南シナ海でフィリピンを脅かし、ベトナムを脅迫し、日本に絶えず挑発を仕掛けている。中共政府を公然と批判する国はしばしば報復を受けるという。

またマイルズ・ユー氏は、中共政権発足以来、その政権が引き起こしまたは製造した戦争と地域紛争は、戦後アジアのいかなる政府よりも多いと指摘した。現在、中共は世界最大規模の軍事力を掌握しており、その軍は世界最大のマルクス・レーニン主義政党に属している。指導者が唱える「中国夢」もその本質においては、中共主導の世界秩序という壮大な野望だと述べた。

寄稿はまた、中共の略奪的な経済体制も尊重に値するものではないと指摘した。巨額の政府補助金、技術移転の強制、市場の閉鎖、為替操作、そしてサプライチェーンとレアアース資源の「武器化」によって、長期にわたり世界市場を歪めてきた。

しかしその一方で、中共政府は常に「西洋の覇権」、とりわけ米国の被害者として自らを描き続けてきた。他者を傷つけながら自分が被害者だと主張し、「外国の干渉」を非難しながら世界規模で大規模なサイバースパイ活動と政治的影響力工作を展開している。

中国人民こそが中共の最大の被害者

マイルズ・ユー氏は、世界は明確に区別しなければならないと述べた。中国人民は中共政権ではない。実際、中共の最大の被害者こそが中国人民自身、言論の自由、司法の独立、真実の歴史、信仰の自由、基本的人権を奪われた普通の人々だ。

「ある政権が真に自国民を尊重してはじめて、他者から尊重を得る資格がある。歴史上、いかなる外来の帝国も中共ほど多くの中国人を殺してはいないし、いかなる勢力も中共ほど大規模に中国文化と中国の家庭を破壊してはいない」

マイルズ・ユー氏はその例として「大躍進」が人類史上最大規模の大飢饉を引き起こし「文化大革命」は寺院、伝統、学術、そして人と人の間の基本的な信頼を破壊したと述べた。

中共は「中国を救った」と自称しながら、実際には現代中国の苦難の最大の製造者だと氏は述べた。1949年以降、少なくとも7千万人が共産主義支配の下で命を落とし、それは一人っ子政策の下で生まれることのなかった数億の命を含まないという。

マイルズ・ユー氏は以下のように述べている。

「今日に至っても、中共は世界最先端のハイテク監視国家の構築を進め、少数民族への迫害を続け、言論を検閲し、異議を弾圧し、ジャーナリストを投獄し、信仰者を迫害し、自由な表現を犯罪としている。真実をこれほど恐れ、自国民をこれほど残酷に扱う政府に、世界に向かって『尊重』を語り求める資格など、およそ存在しない」

真の尊重とは中共への迎合ではない

マイルズ・ユー氏は、中共を真に「尊重する」方法とは、それに媚びへつらうことでも、意図的に作り出された被害者の物語に迎合することでもなく、中共が真に尊重に値する行動を取るよう迫ることだと述べている。

民主主義国家は中共の指導者と公然と向き合い、偽りの物語を直接打ち砕き、空虚なスローガンを信じることをやめ、すべての約束を実際の行動で検証すべきだとユー氏は述べた。また世界は、周辺の国々であれ、中国人民自身であれ、中共政府によって脅かされ、抑圧され、沈黙させられている人々の側に毅然として立つべきだとした。

マイルズ・ユー氏は以下のように述べている。

「真実なくして信頼はなく、互恵なくして真の尊重もない。そして長期にわたり組織的に他者の尊厳と自由を奪ってきた政権に、他者から『相互尊重』を求める資格は断じてない」

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