米国 対中鉱物依存脱却へ 中央アジアに注目

2026/06/15 更新: 2026/06/15

中国共産党(中共)が世界の重要鉱物のサプライチェーンを独占し、アメリカの国家安全保障の脅威となるなか、トランプ政権は中国への依存を減らすため、中央アジアへの関心を急速に高めている。

6月10日、米セルジオ・ゴール特使は、カザフスタンの首都アスタナで中央アジア5カ国の代表らと初の「重要鉱物サミット」を対面で開催した。米・カザフスタン両政府の当局者は、今回の会合が初期の合意を具体的な共同事業へと進める契機になるとの見方を示している。

これに先立ち開催された現地の大規模な鉱業大会には、米商務省のデビッド・フォーゲル次官補をはじめ、20社以上の企業関係者や政府高官を含む過去最多のアメリカ代表団が参加した。

超党派シンクタンク「民主主義防衛財団」の研究アナリスト、アンジェラ・ハワード氏は最新の分析記事の中で、中央アジアは鉱物資源が豊富であるものの、従来、中共とロシアの影響下にあったと指摘。米国が近年、同地域での影響力を強めているのは、トランプ政権が進める世界規模の連携強化という広範な戦略の一環であると分析した。

アメリカは2025年以降、中央アジア地域における一連の資金調達計画を協議しており、すでにカザフスタンのタングステン鉱山開発に関する7億ドル規模の意向表明書を交わしている。

中共による重要鉱物独占の脅威

ハワード氏は、中共が世界の重要鉱物のサプライチェーンをほぼ掌握しており、採掘だけでなく、加工・精錬の分野でも圧倒的な主導権を握っていると警鐘を鳴らす。

国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、主要な鉱物のうち、中共は精錬工程の平均約70%のシェアを占めており、タングステンやコバルト、ガリウムなどの重要資源の大部分を支配している。

さらに深刻なのは、中共がこの支配力をしばしば外交・政治的なカードとして利用することだ。過去の米中貿易摩擦の際、中共はガリウムなどの輸出規制に踏み切ったほか、中共の国有企業が市場価格を操作して競合他社を排除する動きも見られた。

こうした事態を受け、米政府は6月3日、国際開発金融公社を通じて20億ドルの資金拠出を承認した。この資金はサプライチェーンの安全確保に向け、中央アジアの重要鉱物プロジェクトの支援などに充てられる。

豊かな資源に潜む地政学的リスクと課題

中央アジア諸国には、世界最大級の未開発の重要鉱床が今なお眠っている。各国は新たな鉱物開発計画を発表し、外国からの投資を呼び込むために法制度の改革を進めてきた。

しかし、アメリカが中央アジアへの投資を進めるには、依然として多くの障壁が存在する。これらの中央アジア諸国は、対ロシア制裁逃れの温床となるリスク、汚職、人権問題、そして政治的・法的な不確実性を抱えている。現に、現地の司法判断が不透明な形で覆される事例も発生しており、投資環境の安定性には疑問が残る。

さらに、中央アジアは物流や加工のインフラが未整備であり、大量の資源を持続的に輸送する能力に限度がある。投資に向けた議論は活発なものの、実際のインフラ整備は遅れているのが現状だ。

リスクと機会のバランス

ハワード氏は、中央アジアへの投資拡大は、アメリカにとって中共主導のサプライチェーンへの依存を減らす一助となり、中央アジア諸国にとっても中露以外の選択肢を得る機会になると評価する。しかし、投資に際しては巨大な地政学的リスクを慎重に見極める必要があり、リスク調査の徹底が不可欠である。

アメリカの公的・民間投資家が計画を進める上では、現地の規制監督や財務の透明性を前提条件として求める必要がある。また、企業が大規模な事業への参画を決断する前に、まずは物流や加工の基礎的な課題をクリアしなければならず、現地政府との綿密な連携が求められる。

米政府としても、中央アジアから欧州方面へとつながる「物流回廊」への資金援助をさらに検討する必要がある。これらが実現できなければ、重要鉱物の加工や自動車・ハイテクなどの下流産業は、今後も中共の制約を受け続けることになるだろう。

李平
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