2026年6月、中国東北部にある黒竜江省綏化市(すいかし)の複数の地域で、商店が一斉にシャッターを下ろす異例の事態が起きている。下ろしたシャッターは今も上がらず、買い物が不便になった市民から困惑の声が上がっている。
発端は、6月初めごろから広がった、消防検査を名目とした抜き打ち調査と高額な罰金の情報だ。すでに一部の店では、不可解な理由で数万元(数十万円)の罰金を科されたケースもあり、店主たちの間に不安が広がっている。
「次は自分たちの番かもしれない」と恐れた店主たちは、一斉にシャッターを下ろした。
いまや綏化市とその周辺地域では、昼間にもかかわらず、ほとんどの店がシャッターを下ろしたままとなっている。シャッターには「貸します」「譲ります」の張り紙が目立ち、まるで街全体が営業を止めてしまったかのような光景が広がっている。
商店の一斉閉店がネット上で話題になると、当局は事態の収拾を図るため、「大規模な消防検査や巨額の罰金は存在しない」と否定したが、シャッターが上がることはなかった。
もともと売り上げが落ち込み、一日店を開けてもほとんど利益が出ない。それなのに、一度目を付けられれば数十万円規模の罰金を科される可能性があるため、店主たちは「営業するより閉店した方が安全だ」と考えるようになっている。
近年、中国では、財政難に苦しむ地方当局が、あの手この手で違反を探し出し、罰金を徴収する「略奪者」として店主たちが恐れるようになっている。実際、以前には広東省潮州市や汕頭市で消防検査が始まると、店主たちが「略奪者が来るぞ!」と叫びながら互いに知らせ合い、一斉にシャッターを下ろす様子が話題になった。
もっとも、店主たちも黙って逃げているわけではない。そこには中国人らしい皮肉のセンスもある。店先に並んだ奇抜な「休業理由」の貼り紙がSNSでも大きな話題を呼んだ。
「疲れたので休みます」「オーナーの機嫌が悪いので休みます」。なかでも多くの人の目を引いたのが、「お化けが怖いので今日は休みます(怕鬼 今天休息)」という貼り紙だった。
誰のことを指しているのか、あえて説明する必要はないだろう。店主たちも、客たちも、ネットで見た人たちも、みな同じものを思い浮かべていたはずだ。



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