中国 美談にしようとした報道が裏目に

32日連続勤務で36歳警察官死亡 「英雄扱い」に中国で批判噴出

2026/07/18 更新: 2026/07/18

「32日も休まず働いて亡くなった人」を英雄と呼ぶべきなのか。それとも、そんな働き方をさせた組織を問題視すべきなのか。中国でこの問いが大きな議論を呼んでいる。

チベット自治区で36歳の警察官が、標高約4700メートルの警備拠点で32日間連続勤務した後に脳出血で倒れ、死亡した。国営メディアは「職務に身をささげた模範」として大々的に報じたが、世論の反応は予想とは逆だった。

亡くなった警察官は妻が妊娠7か月で、勤務が終われば育児休暇を取ることを楽しみにしていたという。しかしネットには「なぜ交代させなかったのか」「人手不足なら増員すべきだ」「こんな働かせ方を美談にするのはおかしい」と批判が殺到。「英雄ではなく制度の犠牲者だ」との声も相次いだ。

ネット上のアンケートでは、約7割が「本来なら防げた死だった」と回答し、「偉大だ」と評価した人はごく少数だった。

かつて中国では、過酷な長時間労働や過労死を「献身」「奉仕」として称賛する報道は珍しくなかった。しかし今回は、「亡くなった人を褒める前に、なぜ32日も働かせたのか説明すべきだ」という声が世論の中心となった。

「英雄が一人増えた」のではない。「防げたはずの犠牲者がまた一人増えた」。

それが多くの中国人の受け止め方だった。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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