W杯が米国経済を後押し 開催都市で売上急伸 消費押し上げ

2026/07/21 更新: 2026/07/21

2026年サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催を受け、アメリカ各地で観光や個人消費の拡大が鮮明になっている。開催都市では飲食店やホテル、小売店の売り上げが伸び、金融機関は「4年以上で最も力強い消費の伸び」と分析する。大会の経済効果は今後公表される統計でさらに明らかになる見通しだ。

ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外フェニックスビルにある韓国風フライドチキンのスポーツバーでは、イングランド対ノルウェー戦の放映中に豪雨で約10分間停電した。それでも店内に集まった両国のサポーターは席を立つことなく、料理を楽しみながら復旧を待った。

同店の売上高はこの日、約1万3千ドルを記録した。共同経営者のシェア・ロジオさんは米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに「W杯が終わらなければいい」と語った。

同紙によると、フィラデルフィアやカンザスシティなど11の開催都市では、大会を機に観光需要が拡大している。ボストンではスコットランド人観光客がパブに集まり、カンザスシティのホテルはオランダ人サポーターでにぎわうなど、各地で海外からの来訪者が地域経済を支えている。

消費6.3%増 4年超ぶりの高水準

米バンクオブアメリカ(BofA)の6月の推計では、米国内のクレジットカード・デビットカード利用額は前年同月比6.3%増となり、4年以上で最も高い伸び率となった。同行はW杯が外食需要に加え、実店舗での小売消費も押し上げた可能性が高いとみている。

バンクオブアメリカ研究所の集計では、11の開催都市すべてで大会期間中の消費支出が前年を上回った。

同研究所のエコノミスト、ジョー・ワドフォード氏は「4年以上で最も強い消費の伸びで、予想を上回る結果となった」と指摘した。

消費拡大は大都市圏を中心に、小売店や飲食店で目立ったという。分析は主にアメリカ人利用者の決済データに基づいており、海外旅行者の支出を含めれば経済効果はさらに大きくなる可能性があるとしている。BofAはW杯のスポンサー企業の一社でもある。

市場関係者の間では、大会が経済全体に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要するとの見方が多い。今年後半に公表される経済統計が注目される。

米ゴールドマン・サックスのアナリストは、多くの海外サポーターが自国代表の試合観戦のため高額な支出をいとわないと分析。「国への誇りや幸福感、文化的な影響はGDPでは測り切れない」と指摘した。

ホワイトハウス「米国への好感高めた」

ホワイトハウスの2026年FIFAワールドカップのタスクフォース(作業部会)を率いるアンドリュー・ジュリアーニ氏は、「アメリカ人はW杯を愛し、世界も再びアメリカに親しみを抱いた。それが大会の最も大きなレガシーだ」との見解を示した。

FOXニュースへの寄稿では、シアトル中心部のパイオニア・スクエアで地元企業の売上高が約10倍に増えたほか、フィラデルフィアでは約7億7千万ドルの経済効果が見込まれると紹介した。

同氏によると、アメリカ、メキシコ、カナダの16の開催都市には650万人超が来場し、過去大会の記録を大きく上回った。試合会場の平均入場率は99.7%、FIFAファンフェスティバルの来場者数は770万人に達した。150以上の国・地域から訪れたファンが大会を観戦し、関連動画の世界累計再生回数は200億回を超えたという。

一方で、「数字だけでは大会の価値は測れない」とも強調した。中心市街地の活性化や中小企業の業績改善、国境を越えた交流などが大会の成果だとし、「重大な治安上の問題もなく、ファンと選手が円滑に大会を楽しめた」と評価した。

ホテル収入35%増

米CNNは、W杯が社会の分断が進む時代に人々を結び付ける数少ないイベントになっていると報じた。海外からの観光客がアメリカ各地を訪れ、ウォルマートでの買い物やランチドレッシングなどアメリカの日常文化を楽しむ姿が話題になっているという。

フィラデルフィアのドイツ料理店「ブラウハウス・シュミッツ」は大会期間中、多くのサポーターでにぎわった。オーナーのダグ・ヘイガーさんはウォール・ストリート・ジャーナルに対し、午後に試合がある日は従業員が休む暇もないほど忙しく、大会開幕後に約4千個のプレッツェルを販売したと語った。

恩恵が特に大きいのはホテル業界だ。米不動産情報サービス大手コスター・グループによると、7月初旬の平均試合日における開催都市のホテル客室収入は前年同期比約35%増加した。グループリーグでは宿泊率の伸びは限定的だったが、決勝トーナメントに入ると増加ペースが加速した。

地域によって宿泊率の動向には差があったものの、多くのホテルは宿泊料金を引き上げることで収益を確保した。

アメリカ国際貿易局(ITA)の統計では、6月にアメリカへ入国した外国人旅行者数は前年同月比0.2%増となった。

林燕
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